慶太の初恋(3)
慶太の初恋、3話目です。文化祭に向けて...の話です。
「はあ?まだ付き合ってない?」
声をあげたのは涼平だ。
今俺達は駅前のファミレスにいる。俺と涼平の他に、体育祭で協力してくれた洋介と玉川さん、洋介の彼女である由良川さん、駿太と梁瀬さんもいる。
「あの雰囲気でまだ付き合ってないの!?」
玉川さんも驚いた様子で言ってくる。
まあ確かに、距離はかなり縮まったとは思うけど…
「いや、だってまだ告白してないし…」
「告白してなかったのか…それであの雰囲気か…マジか…」
涼平が驚いている。そんなに距離近かったかな?
由良川さんと話していた洋介が口を挟む。
「それで、慶太はどうしたいの?付き合いたいの?」
洋介の問いに俺は答える。
「付き合いたい。…けど…勇気が出ないぃぃぃ…」
「振られるのが恐い?」
「う…うん…」
「障壁がそれだけなら大丈夫だな。当たっていけ!」
「砕けたらどうすんだよぉぉぉ…」
「俺も砕けたことがあるから大丈夫!」
空気が止まった。えっ洋介振られたことあるの?誰に?
すっとんきょうな様子で洋介が答える。
「あれ?言ってなかったっけ?俺1回百合奈に振られたことあるんだよね。」
は?何それ聞いたことねえ。由良川さんを見ると恥ずかしそうにうつむいてる。駿太だったら聞いたことあるかもしれないと思って見てみると、駿太も固まってた。梁瀬さんと食べさせ合いっこしている姿勢で。ナチュラルにイチャついてんじゃねーぞ。
最初に回復した涼平が口を開く。
「聞いてねーから驚いてんだよ!」
「いやー悪い悪い。まあ、機会があれば話すよ。」
洋介があっけらかんと答える。
気になるけど…先ずは俺だな。…よし、決めた!
俺は皆に宣言する。
「俺…文化祭で告白する…!だから、協力して欲しい…!」
皆がおおと声をあげる。俺は決めたぞ!やってやる!
洋介が声をかける。
「だったら、実行委員の俺が手伝うよ。どうすればいい?プランは考えているんだろう?」
やべえ。何も考えてなかった。うーん…どうしよう。
…決めた!
「と、取り敢えずはいいよ。当日一緒に回れるように誘うからさ。」
とにかく、2人で回っていい感じのタイミングで告白する!
「分かった。せっかく慶太が勇気を出すんだ。極力邪魔はしないようにするよ。クラスの皆もある程度は察しているだろうしね。」
洋介が答える。…ん?待って?
「皆も察しているって…?」
俺は疑問を投げ掛けた。
涼平が答える。
「さっきも言っただろ?お前ら完全にカップルの雰囲気だから当日も一緒だろうって話になってるぞ。」
「女子の中でも『温かく見守る会』が発足してるしね。」
玉川さんがケラケラ笑いながら言ってきた。
俺は皆に聞く。
「なあ、俺って分かりやすい?」
涼平が答える。
「分かりやすいっつーか…お前が女子にあんな丁寧に話しかけるのを見たことがなかった。」
「…言われてみればそうだな。」
今まで、『仲良くなりたい』と思って話しかけたことはあっても、『好かれたい』、『嫌われたくない』と思って話しかけたことはなかったかも…坂田さんには『好かれたい』と思って話しかけてる気がする…自分の感覚だけど。
駿太が話す。
「男子の中で話題になってたな。『あいつあんなナンパしてそうな見た目なのにピュア野郎だな。』って。」
「オイこら!ナンパしてそうは失礼だろ!気持ちは分からなくないけど!」
俺は反論する。ナンパしたことねーよ!
「うちのクラスでも話題になってたよ。美術部の子が心配してたけど、駿太の友達って言ったから大丈夫!」
梁瀬さんが親指を立てて言ってきた。
俺ってそんな扱いなのか…ちょっとへこむ。
俺の様子を察してか、洋介が話しかけてきた。
「知らない人のことを知るときは、まず見た目で情報を得ようとしちゃうからね。慶太は金髪で顔が良いから、恋愛経験が豊富そうに見えるんだよ。俺達は『目立ちたいから染めた!』って理由を知ってるけど、他の人は知らないからね。」
確かに…遊んでそうな奴って見た目が派手だもんな…この前坂田さんにナンパしてきた奴も派手な見た目だったし。
洋介は話を続ける。
「まあ、今さら見た目を変えてもしょうがないけどね。坂田さんも気にするような人じゃないだろうし。」
それはそうだ。坂田さんはそんな人じゃない。でかくて厳つい駿太やどこからどう見てもヤンキーな涼平相手でも、控え目ながらに1クラスメイトとして普通に接している。俺だって駿太と最初に話したときはちょっと恐かった…ここだけの話だ。涼平は幼なじみなので例外だ。
1人で思考にふけっていると、梁瀬さんが思い出したように言ってきた。
「そうだ、思い出した!その美術部の子が西郷くんに玲衣奈ちゃんの展示を見て欲しいって言ってたよ!あと、応援してるって!」
マジか!俺結構いろんな人に応援してもらってるんだな…文化祭までに、もっと仲良くなれるように頑張ろう!
こうして、色々話をしたあと、俺達は解散した。
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翌日の放課後、俺は坂田さんに声をかけた。
「ねえ、ちょっと時間良い?」
「えっ。う、うん、良いよ。」
俺は坂田さんと一緒にいた女子に目配せをした。恐らく美術部の子だろう。
彼女たちは察したのか2人きりの状況にしてくれた。なんか俺にサムズアップしてきたが、多分誤解している。
「そ、それで、用事は何かな?」
「あ、ああ、うん。…あの、文化祭なんだけどさ。良かったら一緒に回らない?」
「えっ。」
ここで俺、重要なことに気付く。
周りにめっちゃ人いる。断わりづらい状況にしてしまった…
俺は慌てて言葉を出す。
「ああ、別に他の用事があったら「良いの?」えっ。」
坂田さんが不思議そうに俺に言う。
「金山くん達と回るのかなと思っていたけど…」
あー…よく一緒にいるからな…普通は友達と回るからな…けど
「駿太が梁瀬さんと回りたいと言ってたからな。それにつられて洋介も彼女と回りたいと言い出して…だから誘ったの。」
なんか周りのざわつき方が変わったような…?
えっ坂田さんうつむいちゃってる…俺不味いこと言っちゃったかな…
すると、坂田さんが意を決したように顔を上げて言ってきた。
「私も、一緒に回りたいと…思ってたの!」
マジ?やったぜ!嬉しい!何故か俺のテンションと共にギャラリーも盛り上りだした。誘っただけでこんな盛り上がるなんて…この学校すげえな。
俺が喜んでいると、坂田さんが話しかけてくる。
「そ、そんなに嬉しかったの?」
「え?うん!めちゃくちゃ嬉しい!」
「そ、そうなんだ…えへへ…」
ズキューン
可愛い
決めたぞ...!絶対に文化祭で最高の告白をしてやる…!
俺は「また回るとこ相談しようね!」と言ってその日は別れた。
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「りょーへー!!!誘えた!!!」
その日の夜、涼平の家に突撃訪問して、今日のことを報告した。
詳細を聞いた涼平は、何か変なものを見るような目で俺を見ていた…何故に?
理由を訪ねても、「後で言う。」しか言ってくれないし…なんだよもー!
俺は後に、涼平の気遣いに感謝することになる。…が、このときの俺はまだ知らない。
駿太くん(一応)前作の主人公なのに何もやってねえ!
恋愛系は疎すぎるので仕方がないですね…
次回!文化祭編!




