真逆なふたりのお付き合い(涼平編)(6)(終)
涼平くんのお話、最終回です。
今日は俺達藍丹中と欧天中との合同合宿!去年は色々あったなぁ…
去年トラブルを起こした福谷と柳木も今では立派にスタメンをやってる。欧天中の人達も去年以降の2人を見ていたからか、今では普通に接している。
(今年は流石にトラブルが無ければ良いな…)
そう思っていたら、藍丹中の1年が練習試合中に喧嘩をしだした。
ちょっと!勘弁してよ!
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1年生を仲裁し、練習試合が一段落した俺は、体育館の裏で1人休憩していた。揉めた1年の2人は公徳が先生の元に連れていった。…今年のキャプテンも怒らせたら恐いなこれは…
すると、1人の男がやってきた。あいつは…
「仲裁お疲れ。」
「福谷。お前もな。…柳木は?」
「大宅と一緒に説教しに行った。」
「なるほど、反面教師枠だな」
「反論できないから止めろ。」
そう言いながら笑う福谷を見て、俺は安心した。
「…でも、あいつらの気持ちも分からなくはないんだよな…」
福谷がポツポツと話し始める。
「あの時、俺達は余裕が無かったんだ…宍戸と大宅がどんどん力を見せているなかで、俺達はどんどん置いていかれる感覚になったんだよな…はあああぁ…」
福谷は両手で顔を覆いながらしゃがみこむ。大分後悔してんだな…
「俺らと違って、他の人に直接迷惑をかけなかったのが不幸中の幸いだな。…自分で言ってて辛くなってきた。」
「まあ、うん、ドンマイ。」
俺は福谷の肩を叩く。
「宍戸君!福谷君!練習再開するよ!」
お、欧天中の人がやって来た。
よし、あと少し、がんばるぞ!
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「宍戸さん。」
「あれ?奥島さん。こんな時間にどうしたの?」
夕食も終わり、今は夜の自由時間。あとは明日に備えて眠るだけ…なんだけど、俺はなんだか眠れなくて夜の散歩中。奥島さんも同じかな?
「逃げてきました。」
「逃げてきた!?」
「ええ…その…恋愛の話になりましたので…」
奥島さんはそう言いながら俯いた。
「まあ、女子ってそういう話好きそうだしね。うちのクラスの女子も修学旅行でしてたみたいだし。」
「そ、そうですよね。私はあまり興味が無いのですが…」
確かに、奥島さんは恋バナしてるイメージが全く無いな…サッカー話は簡単に想像着くけど…あ!
「じゃあさ、俺とサッカーの話しようよ。」
「…良いんですか?」
「良いよ良いよ。…ほら、せっかく月が綺麗で明るいし。」
「…!は、はい…では、お言葉に甘えて、今季のJリーグの話でも…」
「お、良いね!奥島さんは今季どこに注目してる?」
「ええと…」
こうして、俺達は消灯時間の1歩手前まで語り合った…
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「遂に俺達も3年生だ…!」
俺達は3年生になった。全中に行く最後のチャンス、絶対ものにしてやる…!
今年のチームは過去最高を名乗っても良いくらいの出来だと自負している。キャプテンでDFの公徳、MFの俺、FWコンビの福谷と柳木を中心に良い選手が揃っている。合宿のお陰かチームワークもバッチリだ。
地区大会を来週に控え、準備は万端!
欧天中も力を付けているが、ぶっちぎって勝ってやる!
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「はあっ、はあっ…!あ、危ねえ…!」
地区大会決勝、俺達はまさかの苦戦を強いられた。
アディショナルタイムで柳木がギリギリ得点できて、1-0でなんとか勝利…!
欧天中…県大会はかなりの強敵になるぞ…!
そう思ってると、奥島さんから連絡が来た。
(ん?何々…この後、公園で会いましょう…?)
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「お、お待たせ…!」
「宍戸さん。すみません、試合の後ですのに…」
「良いよ。…それで?用事は何?」
「え、えっと…その…試合の感想を聞きたくて…」
「試合って…今日の?」
「はい。流石に周りに人が多い状況だと聞きにくくて…」
「ああ、なるほど。…強かったね。欧天中。」
「そ、そうですか!…でも、あの戦術、2度目が通用しないんですよね。」
「確かに!」
「…ですので、県大会までにもっと強くなって見せますから…!と、うちのキャプテンが言ってました。」
「…!良いねえ…県大会が楽しみだよ。」
「…お互い、頑張りましょう。」
「うん!…じゃあ、またね!」
「ええ…あ!宍戸さん!」
「?どうしたの?」
「い、いえ…その…また、こうして、話をしても良いでしょうか…」
「良いよ!勿論!」
「…!ありがとうございます。では、また。」
「うん、またね!」
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県大会が終わった。準決勝で欧天中と当たったが、結果は1-0で俺達が勝った。
そして、俺達藍丹中は決勝で4-0の圧勝!無事に優勝した。
県大会ベスト4までが地方大会に出場できる。つまり、俺達も欧天中も結果次第で全中に出場できるのだ。
(出来ることなら、全国で戦いたいな…)
と、考えてはいるものの、今日の俺はそれどころではない。何故なら…
明日、奥島さんにもう一度告白をする。
何故このタイミング!?とはなるだろうが、理由がある。
シンプルに会うタイミングがないのだ。
地方大会の会場が準決勝以降じゃないと一緒にならないし、もし当日勝ち上がっても試合でそれどころではないからだ。
じゃあ全中が終わったタイミングで良いだろ!って思うが…奥島さん、なんと全中が終わったら携帯を封印すると言い出した。
本人曰く、受験に集中するためと言っていたが、俺が困る。
俺と奥島さんが繋がるツールが無くなるからだ。
なので、この機会を逃すわけにはいかなかったのだ…
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「あの…宍戸さん…話とは?」
「あ、う、うん…」
…やべえ。呼び出したは良いけど言葉が出てこない。
あんなにシミュレートしたのに!どうしよう!
「あ、あの…大丈夫ですか?」
奥島さんが心配そうに俺を見る。
顔が良い!可愛い!好き!」
「…えっ!」
奥島さんの顔がみるみる赤くなる…何で?
「あ、あの…声に出てましたよ。」
「へ?何が?」
「そ、その…好きって…」
「…えっ。」
…やべえ。声に出てた。ヤバいヤバいヤバい…どうしよう…
「…だったら良いです。」
「へ?」
「…ですから、お互いが引退したら、お付き合いをしても良いと言ったんです。」
「…」
「…宍戸さん?」
「…夢じゃないよね?」
「夢ではありません。」
「…やったああああああああ!!!」
俺の叫びに奥島さんはビクッと反応した。うるさくてごめん!でも嬉しいんだ!
「い、引退したらですからね!」
「うんうん。大丈夫大丈夫、後数ヶ月くらい、全然待つよ!」
「…だったら良いです。…その…よろしくお願いします。」
「うん!よろしくね!」
そうして、俺こと宍戸 涼平と奥島 優子は恋人(予定)になった。
その後、はしゃぎすぎた結果色んな出会いが起こったのは別の話。
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「…と、いうわけ。」
現在高校1年生の俺は今、駅前のファミレスに来ている。というのも、俺の幼なじみである西郷 慶太が自分の恋愛の参考にしたいから教えてくれと言ったからだ。
俺、言ってなかったっけな…と思いながら話してみたものの…
「いや恥ずかしいわこれ!」
「いや、でも、参考になったよ!ありがとう!」
「…自分で言うのもなんだけどさ、どこが参考になったんだ?」
俺の言葉を聞いて、慶太は少し考えた後、話し出した。
「うーん…2人の共通している趣味の話を一杯したことかな?」
「あー…まあ、俺と優子の共通点なんてサッカーしか無かったからな。それ以外の趣味は全然違うし。」
「へえ…例えば?」
「例えばって…音楽とか?俺はロックばっかりだけど優子はクラシックしか聞かないし…優子は少女小説を結構読むけど、俺は少年漫画ばっかりだし…」
「そうなんだ…でも、涼平的にはそういうのが良いんだよな?」
「そうだな。お互いに、真逆なくらいがちょうど良いんだよな。結構楽しいし。」
「…なんか、良いな。」
「おう、良いだろ。もっと羨ましがれよ?」
「くそう!俺も坂田さんと…なんか…良い感じになりてえ!」
「頑張れ頑張れ。…体育祭、良い感じなんだろ?」
「おう!ありがとうな!涼平!」
「俺ほとんど何もしてないけどな。」
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「ふー…食った食った!慶太、この後どうする?」
「服見に行きたい!」
「おけまる。じゃあ、いつもの店行くか。…ん?」
「あ、涼平くん。」
「お、優子…とギーちゃん。」
「ちょっと!もっと可愛いあだ名が良いって言ったじゃん!」
そう文句を言うのはギーちゃんこと鷺谷 瑠美。優子とは中学からの友人で、ひょんなことからサッカー友達になった。
すると、優子が俺に話し掛けてきた。
「何をして…って、幼なじみさんの恋愛相談ですよね。」
「そうそう、ちょっと思い出話を。そっちも?」
「はい。私も思い出話をしました。」
「ふーん…あ、これから服見に行くけど、一緒に行く?」
「いえ、映画がありますので。」
「オッケー。じゃ、また明日な。」
「ええ、また明日。」
そう言って、俺達は別れた。
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「いやー何か良いな。」
「何がだよ。」
俺がそう言うと、慶太は唸りだした。
「いや、何か言葉で言いにくいんだけど…こう…気安い感じというか…あっさりした感じが良いなって…」
「そ、そうか?」
「っていうか!何でそんな感じになったの?話を聞いた感じだと、もっとこう…イチャついてても良くない?」
「いや…あー…ちょっと話長くなるからさ、服見に行った後にカフェ行かね?そこで話すわ。」
「オッケー!了解!」
こうして、俺達は服屋に行ったのであった…
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俺と優子、真逆な2人はこうして付き合うことになった。
(優子、どんな話をしたんだろうな…気になる。)
涼平編、終わり。
優子編へ続く。
涼平編はこれで終了です。
次回は2話特別編を挟んだ後に優子編に行きます。




