真逆なふたりのお付き合い(涼平編)(4)
涼平くんの話、第4話です。
県の新人戦が終わった!今回も我が藍丹中が優勝だ!この調子で来年も全国に行くぞ!…と言いたいけど、中々大変そうだ。
と言うのも、奥島さんがいる欧天中がかなり力を付けてきている。
実際、県大会の決勝はPK戦でなんとか勝利したんだ。来年はかなりの強敵になるぞ…!
あの2人…福谷と柳木がいたらもっと余裕があったかもしれないんだけどね。あの2人は中々傲慢だけど、サッカーの実力は結構あるのだ。
あの2人は騒動の後、1週間の部活謹慎となった。それと新人戦での帯同禁止、謹慎明け後は1ヶ月マネージャー業務をやらされることになった。
人が少ないところで他校の、しかも女子の腕を掴んだのが良くなかった。あと、マネージャーを軽視する発言も。キャプテンめちゃくちゃ怒ってたな。
謹慎明け、2人はかなり大人しくなってた。家で家族やきょうだいにコッテリ絞られたらしい。
2人は奥島さんや他の欧天中の人たちにしっかり謝罪したらしい。俺にも謝罪に来た。俺や公徳が活躍しているのを見て嫉妬していたらしい。それを関係無い人にぶつけてしまった事を本当に反省していた。
他の人は知らないが、俺は許した。2人の行動や言葉は間違いなく悪いことだったが、しっかり反省しているし、俺は別に2人が嫌いなわけではないのだ。同じ小学校だから付き合いも長いしね。
…とまあ、色々あったけど。やっと大会が終わって、今日は勉強会!と、言うわけで!なんと!俺と公徳は奥島さんの家に行く事になった!
奥島さんの兄である志郎さんが提案してくれたらしい。ありがとうございます!
俺は公徳と待ち合わせてから、奥島さんの家に行ったんだけど…
「でっけぇ…」
「…でかいな。」
奥島さんが社長令嬢なのは知っていたけど、それにしても家がでかい!
俺達が圧倒されていると、門から白髪のダンディーなおじいさんが出てきた。…まさか!
「宍戸様、大宅様ですね?私、奥島家より執事を仰せつかっております、瀬田と申します。」
「し、宍戸 涼平です!し、志郎さんと優子さんにはお世話になっております!」
「お、大宅 公徳です。同じく、お2人にはお世話になっております…」
し、執事だ…!本物だ…!すげえ…
俺達は緊張でガチガチになりながら、瀬田さんに付いていった。
家の中を歩いていると、瀬田さんがクスリと笑った。
「ど、どうかされましたか?」
俺がそう聞くと、瀬田さんはハッとした様子で俺を見た。
「ああ…!お嬢様は滅多にご友人をお招きしないので、つい嬉しくなってしまって…申し訳ありません。」
「い、いえ!謝らなくて大丈夫です!」
そうだったんだ…!と言うことは、結構心を開いてくれてるのかな?だったら良いな…
そう思っていると、瀬田さんが扉の前で止まった。おそらくここが奥島さんの部屋なんだろう。
瀬田さんが扉をノックする。
「お嬢様、瀬田です。」
「瀬田?入ってちょうだい。」
中から声がすると、瀬田さんは扉を開いた。
部屋の中には奥島さん!…と、志郎さんが座っていた。
奥島さんは俺達を見ると話し掛けてきた。
「宍戸さん、大宅さん、お待ちしておりました。」
さあ、勉強会の始まりだ!
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「では、始めましょうか。」
奥島さんはそう言うと、机の上にテキストを並べた。
「よ、よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします。」
そう言って俺と公徳も机にテキストを並べる。うーん、どれからしよう…
「英語にしましょうか。お2人とも苦手と聞きましたので。」
奥島さんの提案に俺達は乗ることにした。
そういえば俺達は苦手教科を教えてもらいに来たんだよな…
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「…ねえねえ、奥島さん、ここって…」
「ここの文の意味がこうなるので…」
「…!なるほど!ありがとう!」
「いえ。…もうこんな時間なんですね。」
「えっ。…本当だ!」
時計を見るともう19時前だ。
「みんな真面目だなー…時間を忘れるまで勉強何て…まあ、お陰で俺も課題が捗ったけど。」
志郎さんが伸びをしながら呟く。
「いやー…俺もここまで集中が持つとは思わなかったですよ。おく…優子さんの教え方が良かったんですよ。なあ?公徳!」
「ああ、そうだな。」
俺達が奥島さんを褒めていると、恥ずかしそうに奥島さんは呟いた。
「そ、そんなことはありませんよ…でも、嬉しいです。」
頬を赤くしてめちゃくちゃ照れてる。可愛い。
その時、志郎さんが俺達に話し掛けてきた。
「なあ、宍戸くん、大宅くん。もし良ければなんだけど、うちに泊まらないかい?もう遅い時間だし…」
「えっそんな!悪いですよ!」
「良いから良いから…俺の部屋広いし、3人だったら余裕で寝られるぞ!」
「いや、あの、そう言う問題じゃなくて…」
俺は奥島さんの方を見る…が、
「お兄様がこうなってしまっては誰も止められません。諦めましょう。」
この言葉で、俺達のお泊まりが確定した。
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「すげえな…」
「ああ、すごかった…」
ドデカイ風呂、超豪華な夕食をいただいた俺達は、志郎さんの部屋にやってきた。お手伝いさん?みたいな人達がたくさんいたなぁ…金持ちってすげえ。
「ふー…2人ともお疲れ様、乾杯!」
志郎さんはそう言うと、缶ジュースを高くあげた。俺達もそれに続く。
その時、扉が叩かれる音がした。
「お兄様、入りますね。」
「おー、優子。良いぞ。」
扉が開かれると、奥島さんがおずおずと入ってきた。パジャマ姿可愛い!
奥島さんは俺と志郎さんの間に座ると、タブレットを取り出した。
「では、どの試合から語ります?」
ウキウキ顔の奥島さんを見て思った。
今日は寝られるかな…?
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「…はっ!」
目が覚めると、部屋は真っ暗だった。
どうやら、話をしているうちに睡魔が襲ってきたらしい。
(…便所行きてえ。)
扉を開けて便所を目指す。場所は覚えたけど遠いな。家が広いとこういう問題があるのか。一つ勉強になった。
「キャッ!」
後ろから声がしたので振り返ると、奥島さんがメイドさんと一緒にいた。めちゃくちゃ驚いたけど可愛いからセーフだ。
「どうしたの奥島さん?」
「…恐らく、宍戸さんと同じ目的です。」
なるほど。だったら目的地は一緒だ。
そう思っていると、メイドさんが急に喋り出した。
「あ!申し訳ありません、お嬢様。私部屋に忘れ物をしてしまいましたので、お2人で向かってください!では!」
そう言ってメイドさんは部屋へ走っていった。
沈黙が走る。
ふと、シャツの裾が引っ張られる感触がある。
裾の方を見ると、奥島さんが少し引っ張っていた。
「宍戸さん、まずは目的地へ行きましょう。」
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スッキリした俺は、ふと窓を見る。暗いが、風景は見える。
(あ、あの山って…)
「どうかしましたか?」
後ろから奥島さんが話し掛けてきた。
「ああ、あの山を見てたんだ。知ってる?あの山。」
「ええ、一応。幼稚園か小学校で登りますよね。」
「あ、奥島さんの所も?俺も小学校の遠足で登ったんだよ。そしたら、幼なじみの慶太ってやつがさ…」
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思いの外盛り上がったな…とはいえ今は深夜。流石に眠たい。
ポケットに触れると、何か不思議な感触がした。あ、これって…
「では、おやすみなさい。」
そう言って部屋に入ろうとする奥島さんに俺は話し掛けた。
「ねえ、映画見に行かない?」
「映画…ですか?」
「うん、あの実話のやつ。」
「あ!あれですか!」
「うん、試写会のチケットをもらったんだ。2枚。」
そう言って俺はチケットを取り出す。これはさっき志郎さんからもらった。…のを今思い出した。
「行きましょう!」
奥島さんは目を輝かせてそう言った。
「よし!じゃあ、また連絡するね。」
「ええ、よろしくお願いします。では、おやすみなさい。」
「う、うん。おやすみ。」
そう言って俺は志郎さんの部屋に帰った。
瞬間、思った。
…これってデートってやつでは?
いつの間にか目が覚めていた志郎さんと目が合う。
志郎さんは親指を立てた。
…話を聞いていたのか…中々恥ずかしいぞ。
さておき、デートに誘えたんだ!ここで良い所を見せるぞ!
その為に、しっかり寝よう!
…デート…!ついに…!
ふへへ…
この後、デートで頭が一杯になった俺は一睡もできず、寝不足で朝を向かえるのであった…
次へ続く!
次回、デート回です!
…ちょっと待って、思いの外長くなった。
初の6話に到達しますね。多分。
(説明文コッソリ変えとこ。バレんやろ、多分)




