真逆なふたりのお付き合い(涼平編)(1)
新年1発目の主役は宍戸 涼平くんです!
ヤンキーっぽい人と清楚っぽい人のお話です。
彼女を見た瞬間、衝撃が走った。
なるほど、これが一目惚れってやつか。
俺は彼女に駆け寄り、こう言った。
「一目惚れしました!俺と付き合ってください!」
「は?何ですかいきなり…嫌ですけど…」
そう言った彼女は、俺から離れていった…
これが俺…宍戸 涼平と、後に彼女となる奥島 優子とのファーストコンタクトであった…
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「いやバカだろ。」
そう言うのは俺と同じ藍丹中サッカー部の大宅 公徳。小学校は違うものの、クラブチームで何度も対戦していたのでなんだかんだ付き合いは長いやつだ。
「でもよー公徳…恋心っていうのは止められないものなんだぜ?」
「いや知らんが。…恋をするのは勝手だが、先輩達や欧天中の人達に迷惑をかけるなよ?」
「分かってるよー…」
そう、俺が一目惚れした相手は同地区のライバル、欧天中のサッカー部でマネージャーをしている子だ。学年は俺と同じ1年で、名前は…あれ?
「そう言えば、名前聞いてないや。」
「は?」
公徳が呆れた顔で俺を見る。
「と、とっさだったからさ!」
「だからといって、名前も知らない人に告白はしないだろう。」
「それはそうだけど…」
公徳の正論パンチに殴られる。その通りすぎるから反論できない。
「…とりあえず、欧天中とは今後何度も顔を合わせるんだ。少しずつ距離を縮めたらどうだ。初めのうちは相手にしてもらえないだろうが、余程でなければ俺もフォローしてやる。」
「か、神…!ありがとう公徳様!」
「ええい!離れろ!鬱陶しい!」
公徳の協力も得られた!これからサッカーも恋も頑張るぞ!
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「ねえねえ、マネージャーさん。手伝うよ。」
「…先ずは自分のチームの手伝いをしたらどうです?」
「良いから良いから…あ!映画とか興味ある?一緒に見に行かな『ゴンッ!』痛ってえええ!!」
「バカ!そんな誘い方があるか!それより!片付けをしろ!バカ金髪!」
「公徳!痛えだろうg「あぁ?」すみませんでした。」
俺が痛さに打ちのめされていると、公徳はマネージャーさんに話し掛けた。…マジで殴りやがったなあいつ、痛ってえ。
「うちのがすまない。俺は大宅 公徳、藍丹中1年のDFだ。…で、このバカ金髪は宍戸 涼平という。こんな身なりだが、悪いやつでは無いんだ…全く説得力はないが。」
「…私は欧天中1年でマネージャーをしております、奥島 優子と申します。大宅さん、よろしくお願いします。…そこの宍戸さんも、一応よろしくお願いします。」
…奥島 優子さんって言うんだな…清楚で可憐…!声も髪も所作も美しい…!惚れそう…惚れてるけど。
「では、俺達は退散する。本当にすまなかった、奥島さん。宍戸が変なことをしたらいつでも報告してくれ。制裁する。」
公徳はそう言うと、俺を連れて奥島さんから離れていった。
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「なあ公徳、そんなに俺の誘い方良くなかった?」
「良い訳無いだろうが!何だあの誘い方!?気持ち悪いわ!たいして仲が良くない相手といきなり映画に行って楽しめるかバカ!」
「そ、そんなに言うこと無いだろ…」
「言うことだバーカ!…全く…まだ完全に嫌われてはいないだけマシだな。好感度は間違いなくマイナスだろうが。」
「お、俺、そんなにヤバい?」
「ヤバいな、かなり。…友人を作る時の距離の詰め方が、恋愛方面でこうも悪く働くとは…!」
「俺褒められてるの?貶されてるの?」
「半々だな。」
「半々か。」
公徳が難しい顔をして唸っている…なんだかんだで俺の恋愛に協力してくれるのはありがたいが、鉄拳制裁の威力をもう少し弱めてくれるともっと助かるんだけどなあ…。
そうこう考えているうちに、公徳は何か思い付いたみたいだ。
「他の人の力を借りよう。伝はある。月曜の昼休み、俺と一緒に行こう。…ということで、まずは練習試合だ。俺達はまだ1年だが、チャンスはあるかもしれない。全力で行こう。」
公徳はそう言ってグラウンドへ駆け出した。俺もそれに続く。
(公徳の伝って気になるな…どんな人なんだろう?)
気になることはあるが、まずは試合に集中!だな!
その後、俺達はレギュラーでは出られなかったが、Bチームで練習試合に出場し、それなりに活躍できた!…と思う!
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「それで、俺のもとに来たの?」
そう話すのは2組の藤村 将次。テニス部で、同じクラスに仲の良い女子がいる。ちなみに俺達は1組だ。
「ああ、恋愛経験の無い俺では力になれそうに無いからな。」
「なるほどね…とはいっても、俺もそんなに力になれそうに無いんだけどな。晶とは仲が良いだけで彼女ではないし。」
「問題ない。宍戸に必要なのは女子との向き合い方だからな。」
「あー…なるほど…」
藤村は俺を見て納得の表情を浮かべる。
「なんだよ、なるほどって。」
俺が疑問を投げ掛けると、藤村は答えた。
「宍戸は距離を詰めるのが早すぎるんだよ。俺と大宅はそういうの気にしないから良いけど、初対面、ましてや女の子にぐいぐい行くのは良くないよ。」
「そ、そういうもんなのか?」
「そういうもん。それに、見た目や仕草が好きといっても、お前はその子のことをそんなに知らないだろ?」
「し、知ってるよ…名前と学年くらいは…」
「じゃあ、その子の趣味は?サッカーを知ったきっかけとかは?」
「う…」
「まずは、ゆっくり雑談することからだな。俺達にするような簡単なやつで良いからな。幸い、その子の好感度は取り返しがつかないほど悪いわけでも無いみたいだしな。…あ!あと、自分の仕事はしっかりやれよ!」
「わ、わかった…ありがとう、藤村。」
「おう!頑張れよ、宍戸。」
「休み時間に済まなかったな、藤村。」
「良いよ。俺と大宅の仲だろ?宍戸が暴走しないようにちゃんと見張っとけよ?」
「任せろ。」
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「あ…奥島さん。」
「宍戸さん。今日もよろしくお願いします。今日は負けませんから、AチームもBチームも。」
「…今日も勝つよ。俺達が。」
「ふふっ。楽しみにしておきます。」
「…」
「…」
な、なんか…思ってたより好感度が高い気がする…!何故…?
「不思議そうな顔をしていますね。」
「えっ!?」
「私があなたのことをあまり嫌っていないことが不思議ですか?」
「…何で分かったの?」
「顔に書いてあります。」
「…俺って分かりやすい?」
「…そうだと思います。」
「そ、そっか…」
「…あなたのことは軽いとは思ってますが、嫌いではないです。」
「えっ。」
「好きでも無いですが。」
「あ、うん。」
「ただ…あなたのプレースタイルは結構好きです。」
「そうなんだ!このスタイル、参考にしている選手がいてさ…」
「イタリアの選手ですよね。攻撃型MFの…」
「分かるの!?」
「ええ、ユーロも良く見てましたから。」
「気付いてくれたのこれで2人目だよ!」
「そうなんですね。…気付いたのは大宅さんですか?」
「そうそう!俺まだ下手だから中々上手くできなくてさ!あんまり気付いてくれないんだよ!」
「練習あるのみですね…と。準備が終わりましたので、またグラウンドで会いましょう。」
「あ、うん!またね!」
「宍戸さん。」
「えっ?」
「サッカーの話でしたら、またしましょう。男女のお付き合いはしませんが。」
「…!うん!またサッカー話しようね!でも、男女のお付き合いも考えてくれたら嬉しいな!」
「しません。」
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「試合終了!」
審判の声と同時に試合終了の笛が鳴った。
俺達Bチームはは3-0で欧天中Bチームに勝利した。
練習試合とはいえ、やっぱり勝利は嬉しい。俺個人で2点も取れたし!
公徳も嬉しそうだ。あいつもめちゃくちゃ活躍してたな。敵だと厄介だが、味方だとすごく頼もしい。
ふと、欧天中のベンチを見る。
奥島さんは本気で悔しがっている。
(本当にサッカーが好きなんだな…)
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「…宍戸さん、なぜここにいるんです?」
「いや、俺、片付けの当番だし…」
「そうなんですね…あんなに活躍したのに…」
「まあ、うち部員多いし、俺はまだレギュラーじゃないからね。そっちもそうでしょ?」
「そうですね…」
「…」
「…」
沈黙が走る。
どちらも言葉を発することの無いまま後片付けが終わると、奥島さんが俺に話しかけてきた。
「次は、負けませんから。」
「…次も勝つよ。」
「…それはそれとして、サッカー談義はまたしましょう。ではまたお会いしましょう。」
「う、うん…!またね。」
こうして、サッカー部の選手である俺と、ライバル校のマネージャーである奥島さんの、奇妙な恋物語が始まった。
次へ続く!
サッカーってユーロリーグあったよね…?(素人並感)




