碧と恋(5)(終)
碧ちゃんの話、最終話です。
「「「「おめでとーっ!!!」」」」
「あ、ありがとう…」
今、私達は駅前のファミレスにいる。小春達と玲衣奈のカップル成立のお祝いをした場所だ。
「ねえねえ、碧。どんな感じで告白したの?それともされた?」
「待って待って!麻里佳ちゃん、私としては、まず出会いから知りたいんだ!途中参加だし!」
「確かにね…碧くんや、一体どういう流れで好きになったのだね?前はそこまで確認してなかったんだよね。」
「私もこの前さんざん碧ちゃん達に言われたからね…!次は碧ちゃんの番だよ。」
麻里佳、瑠美、光咲、玲衣奈から次々に詳細を聞かれる…恥ずかしいけど、玲衣奈にもやってきたことだから受け入れるしかない…くそう。
…仕方ない、話すか…
「じゃあ、まずは出会いから…と言っても、その時はただのクラスメイトで、オタク友達って感じだったんだけど…」
「そうそう、まさか碧ちゃんがほとんど初対面の人…しかも男の子とあんなに楽しそうに話すんだってビックリしたんだ。」
玲衣奈が話に入る。…私そんなに男子と話してなかったっけ?…うん、話してないな。っていうか、趣味友達自体少なかったわ。
…もうちょっといろんな人と交流しよう…高校1年が終わりそうな時期に考えることじゃないと思うけど。
私は話を続ける。
「…ちょっと気になり始めたのは…夏休みかな…」
「やっぱり恋愛探しの旅は無駄じゃなかったんだ!」
麻里佳の言葉に、悔しいが私は肯定せざるを得なかった。
実際、あれがなかったら私は夏休みに三浦くんに会うことはなかったし、そうすれば何も進展せずに2学期が終わったかもしれない。
「それでそれで?どのタイミングで意識したの?どういうところが好き?」
瑠美が私に聞いてくる。…っていうか、相談していた私はともかく、いつの間に他3人と仲良くなったんだ?これがギャルパワーか…
さておき、私は瑠美に話す。
「自覚したのは、ショッピングモールで会った時かな…ペットショップで犬と戯れてる時に、色々思い返していたら自覚しちゃって…でも、意識したのはもうちょっと前かも…」
…
言ってて恥ずかしいな、これ。
4人とも興味津々な表情をしている。
まあ、話すしかないよね。
なんだかんだで私も、三浦くんの良さは布教していきたいのだ。
「三浦くんってさ…誰にでも優しいんだよね。最近だと、沢山荷物を抱えてた生徒をさりげなく助けたりしててさ…」
「悠希も、部活の時に色々フォローしてくれるって言ってたよ!初めて行く試合会場の行き方を共有したりして、1年のまとめ役をやってるんだって!」
光咲が話に入る。そう、三浦くんはとにかくフォローが上手いのだ。それに…
「基本的に誰にでも丁寧なんだけど、友人に対してはちょっと当たりが強めというか…「リア充滅びろ」みたいな発言をするところにギャップを感じて、ちょっとキュンってするんだよね…!」
「ごめん、それは分からない。」
光咲が理解できないという顔で見てくる。何故だ…
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「あれ?光咲?」
「悠希!どうしたの?」
「こいつのお祝い。そっちも?」
「うん!そうだ!せっかくだし、こっちに来なよ!」
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お花摘から帰ってきたら大所帯になっていた。
多分テニス部だろう。ラケットっぽいのがあるし。…ということは…
うん、知ってた。ちゃんと三浦くんの横が空いてますね。
私が三浦くんの横に座ると、三浦くんがビクッと反応した。
「ひ、ひしゃしぶり…三浦くん。」
「…昨日会ったよね?」
噛んじゃったよ。しかも全然久し振りでもないし。笑うな麻里佳。こっちはめちゃくちゃ緊張してるんだよ。
「えーっと…5組の増田さん?だよね?」
「そ、そうですが…」
なんか見たことある人だ。えーっと…名前なんだっけ…
「俺、7組の瀬井山 寛信。海斗と付き合い始めたんだよね?」
そうだ!瀬井山くんだ!あのキャーキャー言われてた!
「ど、どうも、三浦くんとお付き合いさせていただいております、増田 碧です。」
「こ、これはどうも、ご丁寧に…じゃなくて!」
ど、どうしたんだろう…
真剣な表情をした瀬井山くんが口を開く。
「こ、こんなことを言うのも変なんだけど…海斗のこと、よろしくお願いします!海斗、本当に良いやつで…!俺…海斗とは幼なじみなんだけど…昔、俺のせいでこっぴどい振られ方しちゃって…」
「お、おい!寛信!それは俺から言うから!」
「ご、ごめん、海斗。」
ど、どうしたんだろう…気になる…!
すると、三浦くんが私に耳打ちしてきた。
「あ、後で言うから…」
私は無言で頷いた。
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ファミレスでのお祝いパーティーが終わり、私と三浦くんは2人で公園のベンチに座っている。
三浦くんが振られた話…正直気になる…!けど、無理には言ってほしくないな…
そう言おうとした時、三浦くんがポツリポツリと話し出した。
「中学の話なんだけどね?仲が良かった女子がいたんだ…アニメが好きみたいで、良く話をしていたんだけど…ある日、俺はその子に告白したんだ。でも…」
私は黙って話を聞く。三浦くんは話を続ける。
「その女子、実は寛信が好きだったみたいで…その…アニメの話をしていたのも、全部寛信に近づくためだって…結構色々言われたんだ。」
「はあ?何そいつ!意味わかんない!とっちめてやる!」
「待って待って!大丈夫だから!俺以上に寛信が怒ってたし…でもそれ以来、女子が恐くなっちゃって…高校に上がる頃にはある程度大丈夫になったんだけど、自己肯定感がかなり低くなっちゃったんだよね…でもね。」
三浦くんは私を見て、再び話をする。
「増田さんが俺の短所…っていうか、俺が短所だと思っていた、人に嫌われたくない臆病なところを、優しさだって言ってくれて、嬉しかった。」
「三浦くん…」
「改めて言うね?増田さん。俺、あなたの優しさ…人のために怒ったり、友達のために頑張ったり、人の良いところを素直に言う所が好きです。」
三浦くんは私を真っ直ぐ見つめている。
…正直、照れる。
でも、ちゃんと答えないと。
「三浦くん…私も、あなたの優しい所が大好き。だから…」
私は、彼の頬に口を付けた。
「改めてよろしくね。海斗くんっ。」
「よ、よろしくね。ます「ん?」…あ、碧さん…」
「んー…まあ、良いでしょう。呼び捨てでも良かったんだけどね?」
「も…もうちょっと待って…」
「仕方ないなあ、じゃあ、手を繋いでくれたら許してあげる。」
「う、うん...」
海斗くんは私の手をそっと握った。そこも優しいんだね。
「あ、碧さん。家まで送るよ。」
「えーっ。まだ帰りたくない。」
「駄目だよ。親御さんが心配するよ?」
「はーい…」
「また、デートしよう?」
「する!明日!」
「わ、わかった。」
こうして私達は家へ帰っていった…
…これからもよろしくね。私の大好きな、優しい彼氏さん。
その後、私の家で私の両親と海斗くんが出くわすのは、別の話。
終わり
碧ちゃんの話はこれにて終わりです。
次回は特別編、季節に(ほぼ)合ったお話です。




