碧と恋(4)
碧ちゃんの話、4話目です。
今日は待ちに待った文化祭!
やれることはやった!今日で告白…!までは行かなくても、グッと距離を縮めてやる!
(今日は玲衣奈が告白する日だからね。手伝わないと…!)
そう、今日の夕方、玲衣奈は西郷くんへ愛の告白をする。そのために美術室を空けてほしいと頼まれたのだ。
(他ならぬ玲衣奈の頼みだからね!なんとかしてやらないと!)
そう思っていると、前から男子が私に駆け寄ってきた。金髪の顔が整った男子だ。
(あれって…)
「増田さん!ちょうど良かった!」
「西郷くん、どうしたの?」
玲衣奈の恋のお相手だ。一体私に何の用だろうか?
西郷くんが口を開く。
「じ、実はさ…俺、今日の夕方に坂田さんに告白しようと思って…!それで、そのタイミングに美術室を空けていてほしいんだ…!」
「…へっ?」
…今何て言った?坂田さんに告白?坂田って、玲衣奈だよね…?
「さ、西郷くん、坂田って…」
「坂田 玲衣奈さんだよ!増田さん、よく一緒にいるじゃん!」
「あ、うん、だよね。」
…驚いた。まさか同じタイミングでお互い告白しようと思っているとか…お似合いカップルじゃんか、もう。
「わ、わかったよ。西郷くん…が、頑張ってね…」
「ありがとう!俺頑張るよ!」
そう言って西郷くんは駆け出していった。
良かったね玲衣奈、あなたの恋は成就するよ。
「…さて、私も頑張るか…」
さっきも言ったが、今日は三浦くんと距離を縮めるために頑張るのだ。
そのために、ある人に頼ることにしたのだ…
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「アタックあるのみ!」
「いや、だから、アタックの方法を知りたいのよ。」
いや、本当に大丈夫なのかよ…不安はあるが、今は彼女を頼らないといけない。
話は少し遡る…
ーーーちょっと前ーーー
体育祭が終わり、私は運動部の部室棟に来ていた。麻里佳が言うには、そこに恋愛が得意なギャルがいるとのことだ…何でギャルが運動部の部室棟にいるんだよ。なんかこう…空き教室とかあるだろ!
「ねえ、ここに何か用?」
ビックリした。背後から話し掛けられた私は、声の方へ振り返った。
…ギャルだ。本当にいるんだ…ん?あれ?
「鷺谷さんじゃん。」
「増田さんだよね?同じ中学の。」
まさかの知ってる人だった。とはいっても、中学が同じなだけで、特別関わりがあるわけではないが…
「もしかして…噂のギャルって、鷺谷さんのこと?」
「ちょっと待って、噂って何!?」
私は鷺谷さんに、麻里佳から聞いた話をした。
鷺谷さんは複雑そうな顔をして話し出す。
「うーん…私は恋愛得意って訳じゃないしな…」
「じゃあ、別のギャルか…」
「ねえねえ、何か特徴とか聞いてないの?私もギャル探し手伝うよ。ちょうど部活休みだし。」
「ありがとう。特徴か…確か、1年4組で、サッカー部のマネージャー、ギャルメイクをしていて、同じクラスの眼鏡をかけたサッカー部と仲が良い…ねえ、これって…」
「うん、私だよね。」
「だよね。…でも恋愛は…?」
「得意じゃないよ。絶賛片想い中だし。」
「いきなり衝撃の事実を出さないで。…まあ、良いか。話し聞いてよ。」
「良いんだね…まあ、上手くアドバイス出来るかはわからないけど、話は聞くよ。」
私は鷺谷さんに、自分の恋バナをした。…恥ずかしいな、普通に。
ーーー時が戻るよーーー
「アタックの方法ね…話を聞く限りだと、十分距離は近いと思うんだよね。」
「そ、そうなの?あんまり自覚無いんだけど…」
「趣味の話とかよくしてるんでしょ?私は普段の2人はよく知らないけど、同じ趣味を持ってて、お互いに話が盛り上がる関係って、十分親密だと思うんだよね。」
「そういうものなんだね…」
「まあ、増田さん的には、そこからもう一歩近づきたいってことだよね。じゃあ、いっそのこと、物理的に距離を縮めちゃおう!」
「物理的に?」
「そう!簡単に言うと、話をしている時に少し近づくの。ちょっと肩が触れたりとか、ちょっと手が触れたりとか…男の子って、気になってる女の子に近付かれると、ドキッとするものなの!って、先輩が言ってた!」
「先輩の受け売りかい!…まあ、一理あるかも。」
「でしょ?私も今実践中!」
「そうなんだ。それで効果は?」
「わかんない!」
「わかんないのかよ!」
「まあ、結構ドギマギしているみたいだから、効果はあるみたいだよね。」
「他人事みたいに言うんだね…ん?ねえ、鷺谷さんの恋のお相手って、眼鏡かけてる?」
「うん、かけてるよ。大宅くんって言うんだ。サッカー部でレギュラーなんだ!」
「へー…うん、その方法、試してみるか。」
「本当!?効果が出たら教えてね!私、応援してるから!」
「うん、ありがとね。」
そう言って私は鷺谷さんと別れた。
ちょっと…いやかなり緊張するけど、やってみるか。
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というわけで文化祭の日、私の手にはぶどうジュース。今、彼は占い師を頑張っているので、彼の好きなものを差し入れする。
お、休憩みたいだ。
「三浦くん、お疲れ様。」
私はジュースを手渡す。そして肩が触れるくらいの距離で話す。
そして…
「ちょっと飲ませてっ」
さりげなく間接キス作戦!ふふふ…ドギマギしているな…
…
いや待ってめちゃくちゃ恥ずかしいわこれ。
いややりすぎだろ私、何考えてんの?
文化祭でちょっとテンションが上がりすぎた…反省反省…
ドン引きされなくて良かった…嫌われたら元も子もないからね。
さすがに今後は抑えながら作戦を続行していこう…
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あ、そうだ。玲衣奈は無事に結ばれました。
また祝ってやろう。
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2学期が終わっちゃったよ!!!
何の成果も得られてない!
終業式終わりのカラオケでデュエットしたくらいだ…それはそれで良かったけど、もっと…
もうすぐで解散だ。二次会組もいるが、恐らく三浦くんは真っ直ぐ家に帰るだろう。
学校が無いとなかなか会えなくなる。その前に…!
「ねえ、三浦くん…」
私はちょっと、勇気を出した。
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というわけで、今はアニメショップにいます。
あ、新刊出てる…でも、今三浦くんに私の趣味に付き合わせるのはちょっと申し訳ないな…
「あれ?増田さん、あっちは行かなくて良いの?」
駄目だ。好きだ。その気遣いが好きすぎる。
私の趣味って万人受けはしないんだけど、それを受け入れて、フォローしてくれる。
その優しさが本当に好き。
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帰り道、三浦くんと2人で歩く。
「送るよ」と言ってくれた時は、正直嬉しかった。
まだ喋れる!って思ったから。
さすがに申し訳ないとは思ったけど、こうやって今2人で歩いている。
あ、家が見えてきた…もうすぐで終わっちゃう…
…やだな。
私はもう一度、勇気を出す。
「ね、ねえ…」
「ど、どうしたの?」
「あ、あのさ…明後日、空いてる?」
「あ、空いてる…けど…」
「よ、良かったら、遊びに行かない?」
「い、良いよ!遊びに行こう!何処に行く?」
「えっとね…アニメショップや本屋に行きたいな、あと、あのアニメの映画も見たい。」
「良いね!行こう!」
「そ、それでね?…私の家で過去作の鑑賞会…しよ?」
「良いよ!…!…えっ!?」
あれ?途中まで良い感じだったのに…三浦くんが慌て出した。
私が不思議に思っていると、三浦くんが私に話し出した。
「あ、あの!増田さん!」
「ん?どうしたの?」
「そ、その、心を開いていただけるのはありがたいのだけれども...流石に男の俺を家に招くって言うのは…」
なるほどね…まあ、お母さんに言えば大丈夫でしょ。
「大丈夫だよ。ちゃんと家族には言っておくし、夜になったら皆帰ってくるから!」
「余計ダメだよ!?」
えっ?何が駄目なの?…一緒に見たいんだけどな…
「そ、そんな距離を詰めて接されたら、俺!モテないし!チョロいから!好きになっちゃうよ!て言うか、もう好きではあるんだけど…じゃなくて!その…増田さんが俺のこと好きだって…勘違いしちゃうから…!」
…
…
…待って。
もう好きではあるんだけど?
も う 好 き で は あ る ん だ け ど ?
…めちゃくちゃ嬉しい。
三浦くん、私のこと好きなんだ…
つい俯く。ニヤニヤ顔が止まらない。
こんなだらしない顔見られるのはさすがに恥ずかしい。
心を落ち着かせて…よし!
「ね、ねえ…」
「ま、増田さん!い、今のは…!」
「勘違い、しても良いんだけど。…っていうか、勘違いじゃないし…」
「えっ…」
三浦くん、めちゃくちゃ驚いてるな。
全然喋れる雰囲気じゃなさそう…よし。
今日最大の勇気を出そう。
「三浦くん…私、あなたのことが好きなの。」
私にとって初めての愛の告白。
玲衣奈が受けたような、想いが溢れるような告白ではない。
昔読んだ漫画みたいな、ドラマチックな告白でもない。
本当に些細な言葉。それでも…
「ま、増田さん…お、俺も、増田さんのことが好きです。」
「うん、さっき言ってた。」
「…やっぱり聞こえてたか…」
にへっと笑う彼につられて、私も笑う。
「あ、あの…増田さん…」
「?」
「こ、これから…よろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
なんとも言えない、地味なカップル成立の瞬間。
でも、私にとってはこれ以上無いくらい幸せな瞬間だった。
次へ続く!
あと1話、お付き合いください。




