碧と恋(3)
碧ちゃんの話、第3話です。
「さて…」
私は部屋で1人悩む。悩み事は当然、恋のお悩みだ。
「…アタックってどうやってするの?」
そう。こちとら恋愛初心者。恋愛なんて創作でしか知らないのだ。
「…聞くか、光咲に。」
私は同じ部活内で唯一の彼氏持ちである光咲に相談することにした。当然志田くんと三浦くんは違う人間なので同じことをすれば良いって訳ではないが、参考にはなるだろう。
「明日聞いてみるか…」
明日は服を見に行く予定だ。そこで聞いてみよう。
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「…」
「…」
「…」
「…ねえ、何か言ってよ。」
「うう…碧ちゃんが恋する乙女になっちゃった…」
「玲衣奈には言ってたでしょうが。」
「いやー…どおりで、あんなに真剣に服を選んでるなんて、何かあったのかなー、と思ったら!」
「麻里佳まで…私結構真剣に悩んでるんだよ?…それで光咲?何か良い方法無い?」
「とにかくアタック!!!」
「アタックの方法を聞いてるんだけど。」
「うーん…そうは言っても、私と悠希は昔からの付き合いだから、あんまり参考にならなさそうだし…そうだ!」
光咲はスマホをつつきだして、ある漫画を見せてきた。
「この漫画が参考になるかも!三浦くんみたいな大人しい感じの男子には効果があるかも!」
「えっ、漫画を参考にするの!?」
「ふっふっふ…碧くんや…今や漫画も進化しているのだ…!実際に私は別の漫画のやり方を参考にして成功しているのだ…!」
「…マジ?」
「マジ。…まあ、まるっきり同じことをすれば良いって訳じゃないけど、参考には十分出来るよ。」
へえ...創作だと思ってあんまり気にしてなかったけど、意外と参考になる部分もあるんだな…ん?
「ねえ、何で三浦くんって気付いたの?」
そうだ、私は三浦くんの名前は全く出していない。のに、何故わかったのだ…
麻里佳が呆れたように答える。
「逆に聞くけど、何故バレてないと思ってたの?最初から好意マシマシじゃん。」
「いやいやいやいや…そんなことは…」
「ある。」
「…嘘でしょ?」
玲衣奈が会話に入る。
「碧ちゃん、前も言ったけど、碧ちゃんがあそこまで快く話す男子って三浦くんくらいしかいないんだよ?」
ええ…そうなの…?全く自覚無かったわ…
光咲が私に話し掛ける。
「とにかく!明日はテニス部の練習試合!当然三浦くんもいる!その頑張って選んだおしゃれな服と近距離系アタックで落としてやるのよ!分かった?」
「いや、分からないけど。」
「そこは分かりなさいよ!」
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「ということで、テニスコート!今日は悠希の応援だよ!」
「光咲、明日は体育館だからね。忘れないでよ。」
「当然!みんなで楽しまないとだから、希望は叶えてあげないとね!」
「だったら良いけど。…まあ、今日はホヤホヤ乙女の碧のためでもあるしね。」
「ホヤホヤ乙女ってなんだよ。」
「うーん…もしかして好きな人に会えるかも?って思ってる碧みたいな乙女かな?」
「待って麻里佳、私そんな風に見えてる?」
「見えてるよ。だって行きしなから浮かれっぱなしだもん。」
「…マジかー…」
くそう、私って顔に出やすいのか?実際、三浦くんと話せるかもと思っていたから反論ができない…!
歩いていると、うちの高校のテニス部が見えた。
光咲が志田くんに話し掛けに行く。
…三浦くんはどこかな?
少し探すと、三浦くんがストレッチをしていた。見て分かるくらい緊張している。
私の思考がぐるぐるしだした。
(どうしよう、話し掛けに行きたいけど、迷惑にならないかな?)
私がまごついていると、玲衣奈が話し掛ける。
「碧ちゃん、大丈夫だよ。いざというときは私が慰めるからね!」
「失敗前提で話さないでよ。…ありがと、気が楽になった。」
そうだ、当たって砕けろ私!
「ね、ねえ、三浦くん。」
「…ん?…うえっ!増田さん!?何故ここに!?」
「ええと…光咲の付き添い。ほら、光咲と志田くんって付き合ってるからさ!」
「そ、そういえばそうだったね。…くそ、彼女持ちめ、爆発しろ。」
…今爆発しろって言ったよね?結構大人しいと思ったけど、友達には遠慮が無さそうだな…人見知りなのかもしれない。
「…ふふっ。」
「?ど、どうしたの?増田さん。」
「いや?私も光咲に言ってやりたくなって、爆発しろーって。」
「…聞こえてた?」
「ばっちり。」
「…」
「…?」
「…恥ずい。」
キュン
ヤバい。やられた。今のは反則。普段私と話しているのとは違う一面を見られて恥ずかしくなっている姿は良いね。出来ればそういう雑な感じの一面を私にも向けてほしいっていう…
何言ってんだ私。
「…増田さん?」
「へっ?あっ!いや、どうしたの?」
「い、いや…そういえば、何で俺の方に来たのかなーって思って…」
「…お、応援したかったから...」
「えっ」
「あっいやっあのね?知ってる人だし、折角だから応援したいなーっと思って。」
「そ、そうなんだ。」
あーっ!違う違う!素直に応援してるって言いたいのに!何で余計な一言を付けるの!?
うう…何か微妙な空気になっちゃったじゃん…
その時、三浦くんが私に話し掛けてきた。
「あ、ありがとう…応援してくれる人がいるって知れて、嬉しい。俺、上手くはないけど、頑張るね。」
「う、うん。頑張って。」
三浦くんは少しはにかみながらコートへ走っていった。
…
ヤバい。私思っていた以上に三浦くんのこと好きだぞ。
普通にドキドキキュンキュンしてるが?誰だよドキドキキュンキュンだけが恋じゃないとか言ってた奴。普通にドキドキキュンキュンしてるが?
その後、私は心を落ち着かせてから三浦くんの観戦をした。
三浦くんは惜しくも負けてしまったが、スポーツ全般が全くできない私にとっては格好よく見えたし、すごいと思った。感想雑すぎるだろ。
その後、三浦くんと話していたが、正直あんまり覚えていない。とにかく褒めてた気がする。三浦くん照れてたし。照れ顔が非常に良かった。
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「今日は体育館でバレー部観戦!!!待っててね!綾瀬くん!」
「テンション高いな麻里佳…ん?あれって…」
み、三浦くんがいる!?何故!?ってそうか、綾瀬くんとは友達だったね。
話し掛けに行こう。大丈夫、三浦くんの試合じゃないし、緊張もしてなさそうだしね。
「三浦くんっ!」
「…えっ。えっ!?な、何ゆえ!?」
「ふふっ。何その反応?」
「い、いや…まさかいるとは思ってなくて…あっ!俺は輝星…いや、綾瀬の応援に来てて…中学の友達だから。」
「そうそう、私の友達がその綾瀬くんの応援がしたいって言ってたから、その付き添い。」
「そ、そうなんだ。」
「…」
「…」
や、ヤバい…話す内容が無くなった…!だって私、バレーも知らないし、綾瀬くんも知らないから、何を話せば良いか分からないよ!
この前の新刊の話はこの状況だと絶対違うし!
…はっ!そうだ!
「ね、ねえねえ、三浦くん。」
「ど、どうしたの?」
「三浦くんって、バレーに詳しい?」
「く、詳しいってほどじゃないけど、多少は分かるよ。」
「ちょうど良かった!私、ルール全く分からないから、教えてほしいんだ。」
「い、良いよ。簡単なルールくらいしか説明できないけど…」
「十分!ありがとう!」
よし!話題ゲット!しかもこれで隣に立っても違和感がない!やったぜ私!
そして案の定、三浦くんは優しく教えてくれた。時折、「くそう…イケメンがあんな格好良いスパイク決めやがって…」とか、「キャーキャー言われやがって…羨ましい…」とか聞こえてきたけど、正直そういう一面ですら愛おしく思えてきた。
私はもう駄目かもしれない。
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そんなこんながあって2学期になった。
2学期と言えば体育祭と文化祭!…なんだけど、正直体育祭はそこまで楽しめないかも…
私が運動できないっていうのもあるし…何より!我が美術部は文化祭準備でそれどころではないのだ!
なので、私はいつも通り三浦くんとオタク談義をするくらいしか距離を縮める方法が無かったのだけど…
玲衣奈がやった。
遂に憧れの西郷くんと距離を縮めることに成功したようだ。
小春曰く、玲衣奈がショッピングモールでナンパに絡まれていたのを、西郷くんが助けたそうなのだ。
良かった。玲衣奈に何事もなくて。あそこはたまに厄介なナンパがあるから、気を付けるように言っておかないと…!
何事もなかったから言えることだが、中学に引き続き2回も助けてもらえるなんて、最早運命なんじゃないかな?
そういうのもあって、体育祭では同じ競技に出るみたいだ。玲衣奈すごいな…一気に距離を縮めた…
ちなみに、私もしようと思ったけど、三浦くんが早々に個人競技に立候補したので、計画は潰えました。くそう。
しかも、これは完全に私のせいだけど、文化祭展示が全然完成していないので、体育祭の練習期間は絶賛修羅場中でした。玲衣奈達は練習期間より前にほぼ完成させていたのでなおさら切なくなる。くそう。
そして体育祭本番。出る競技の関係ですれちがったり、座る場所が離れていたりで、少ししか話せませんでした…玲衣奈は何か凄く仲良くなっているのに…!
文化祭!文化祭で頑張るから!
次へ続く!
あと2話で終わります。さて、文化祭ではどうなるのか…!




