碧と恋(2)
碧ちゃんの話、第2話です。
恋愛探しの旅とはいったい…?
「まずはやっぱり!私達の原点とも言える、学校からでしょ!」
「いや、光咲が志田くんを見たいだけでしょ。」
夏休み、私達は学校に来ている。光咲が「私達の原点~」とか言ってるけど、彼氏が部活する姿を見たいだけでしょ…と思ってる。この後デートって言ってたし。
「ま、まあ!それは良いじゃない!と言うことで!早速テニス部を見に行こう!」
志田くんはテニス部所属だ。…まあ良いか。光咲が楽しそうだし。
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ーーーテニスコートーーー
「いやーやっぱり格好いいね!テニス選手って!」
「光咲の言うテニス選手は志田くんでしょうが。」
「そうとも言う!」
私と光咲が話していると、ふと目に入った人がいた。
「あれ…三浦くん、テニス部だったんだ。」
「えっ?知らなかったの?三浦くん、悠希と仲良いんだよ。」
「へー…そうなんだ。」
私は三浦くんのプレイを見る。
…正直言うと、特別上手いわけではない。でもなんか…
「頑張ってるんだな…」
私がそう言うと、3人が一斉に私を見た。
麻里佳がニヤリと笑いながら話し掛ける。
「碧ったら…三浦くんが気になるのかい?」
「うん。知ってる人だし。」
「お、おう...い、いや、ほら!瀬井山くんとか気にならないの?」
「…瀬井山くんって誰?」
「嘘でしょ…あの人だかり!キャーキャー言われてるでしょ!?気付かないの!?」
麻里佳が指を差した先を見ると、確かに女子生徒が1人に向かって黄色い声援をあげている。
あの人が瀬井山くんか…ふーん…初めて知った。
麻里佳が私に瀬井山くんの説明を始める。
「瀬井山くんは1年7組、いや、我が学年が誇る最強のイケメンだよ!」
「へー…」
「いや、本当に興味無いんだね…」
「碧ちゃん、そもそも人に興味無いから...」
「待って玲衣奈、流石に人間全てに興味がない訳じゃないから!」
玲衣奈のあんまりな言い分に私は弁明する。
麻里佳がふと思い出したように話し出す。
「そういえば、瀬井山くんも三浦くんと仲良いよね?」
「えっ!そうなの?」
三浦くん、結構交友関係広いな。
光咲が会話に入ってくる。
「悠希と瀬井山くん、三浦くんは同じ中学なんだ。…あ、あと綾瀬くんも!」
「綾瀬くんも!?イケメンパラダイスじゃん!」
麻里佳が何か言ってる。パラダイスってなんだよ。
すると、光咲が何かに気付いたように話し出した。
「…この面子だと、三浦くんがモテないって言ってたのも分かる気がする…」
「どういうこと?」
私が聞くと、光咲は話し始めた。
「私的には三浦くんのスペックはそこまで悪くないとは思うんだけど…周りにいたのがスーパーハイスペック男子達だから、見劣りしちゃったのかもしれない…と、思って。」
なるほど、一理ある。…でも…
「三浦くん、優しいんだけどなあ…重い荷物を持ってると、さりげなく手伝ってくれるし、私が喋りすぎてもちゃんと聞いてくれるし…あ、授業のレポートでも班の話を上手くまとめてたな…」
…ん?何か視線を感じる。
3人がニヨニヨしている。何で?
「どうしたの?そんな顔して…」
「い、いやー何でもないよ?」
麻里佳がそう答えるが、絶対何かあるだろ…って思ったけど、一旦考えないようにした。
その後、私達は他の部活も見に行った。
サッカー部では、たまたま練習試合の応援に来ていた西郷くんを見て、玲衣奈が遠目でドキドキキュンキュンしていたし、綾瀬くんがいるバレー部では麻里佳が黄色い声援の一部になっていた。あんな声出せるんだな。
…一応、美術部の活動はしたよ?簡単だけど、スケッチは描いたし…
そんなこんなで1日が終わった。
私の恋のお相手は、まだいない。
…って言うか、恋愛探しってなんだよ。本当に。
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「さて、今日はショッピングモール!ここもデートスポットで有名だよ!」
光咲の言葉に、私は答える。
「…デートスポットだったら、遊園地やら動物園やらあるんじゃない?」
「いやいやいや…それだと男1人じゃ行かないでしょ。」
「へ?カップル探すんでしょ?」
私がそう言うと、3人が一斉に集まってヒソヒソ話を始めた。…今回は聞こえない。
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〔光咲!口を滑らせないで!〕
〔ごめーん、麻里佳。つい…〕
〔光咲ちゃん、麻里佳ちゃん、今日は碧ちゃんに恋の自覚をさせるんでしょ!上手いこと誘導しないと!〕
〔うーん…でも悠希曰く、【彼】、結構神出鬼没らしくて...〕
〔神出鬼没って、珍獣じゃないんだから...〕
〔…とりあえず、本屋かゲームセンターに行こう!私達と同じオタクだし、行動範囲も似かよってるはず!〕
〔流石玲衣奈!そうしよう!〕
〔よし!解散!〕
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…どうやら話は終わったみたいだ。
麻里佳が話し始める。
「よし!本屋に行こう!」
「突然だな!」
「そういえば、新刊が出てたの思い出した。ちょっと付き合って。」
「別に良いけど…」
「やった!…碧、愛してるぜ。」
「はいはい。」
…本屋ってデートスポットになるのかな?まあ良いけど。楽しいし。
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「これ!私が探してたやつ!やっと見つけた!」
「良かったじゃん、光咲。」
というわけで本屋にいます。ラノベコーナーで物色中…お、これは私の好きな作者の作品。ジャンルも私好みだし、ちょっと買ってみよ。
私達は各々好きなものを買えてホクホク顔だ。
すると、後ろから声が聞こえた。
「あれ?光咲?」
「悠希!」
光咲の彼氏の志田くんがいた。2人が話していると、もう1人の姿が見えた。三浦くんだ。
「三浦くん、おひさー。」
「う、うん…!おひさ。増田さん。」
「今日は2人で出掛けてたの?」
「い、いや、たまたま本屋にいたら悠希に捕まって…これを買いに来てたんだ。多分、増田さんも好きだと思う。」
三浦くんは袋から本を出す。…!あっ!
「私もさっき買ったやつ!」
「あ、やっぱり。この前話してたやつとジャンルが近いし、この作者も好きって言ってたから...後で布教しようと思ったんだけどね。」
三浦くんはそう言うとにへっと笑った。私もつられて笑う。
キュン
…なんか、心臓が少し跳ねた感覚がした。
私が妙な感覚に陥ってると、光咲が話し掛けてきた。
「ごめーん!ちょっとの間2人で回って良い?」
どうやらデートがしたいらしい。そういえば、前に学校に行ったときは結局デートに行けなかったらしいんだよね…折角だし、快く送り出してやるか。
「良いよ。…っと、2人は大丈夫?」
2人を見ると、光咲に向かって話し出した。
「このリア充めー、爆発しろー。」
「えっ、えーと…う、裏切り者ー。」
「そうだそうだ!裏切り者ー。爆発しろー。」
なんか最後三浦くんも混ざってきた。まあ、3人とも笑っているので、3人なりの見送りなんだろう。
とりあえず、私達女性陣は後でいつものカフェに合流することとなって、一旦解散となった。
玲衣奈は雑貨屋、麻里佳は服を見に行くと言っていたので、私はペットショップに行くことにした。
三浦くんは、志田くんと少し話をした後、どこかに行ったみたいだ。
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三浦くんがいた。犬を見ている。好きなのかな?
小さい犬と触れあっている。
「うりゃうりゃうりゃ~、ここが良いのか?そっかそっか!…ふふ。」
「犬、好きなんだ?」
「うおひゃっ!…増田さん…いつから?」
「さっきから。」
「…その、どうかご内密に...」
「えっ?何で?」
「いや、キャラじゃないし…ちょっと恥ずかしい…」
キュン
また心臓が跳ねた。
「増田さん?大丈夫?」
「えっ?どうして?」
「いっ、いや、ちょっとぼーっとしていた気がして…き、気のせいだったら良いんだけど…」
「大丈夫だよ!…ありがとね。…それと、さっきのは2人の秘密…だよね?」
「うえっ!?…う、うん。」
「じゃあさ、私も一緒に見ても良い?」
「えっ?い、良いよ…」
急遽、2人でペットショップを回ることになった。私も犬が好きなのでちょうど良かったかも。
ふと、横を見る。三浦くんはさっきと違う犬と笑顔で戯れている。
(三浦くんって誰にでも優しいんだよね…)
三浦くんは優しい。けど、優しいだけじゃなくて、友達相手には色んな表情を見せている。…私にはあまり見せない表情を…
(なんかちょっと悔しい…悔しい?何で?)
ふと、私は思い出す。かつて見ていたアニメを。恋の存在を知るきっかけとなったアニメを…
主人公が言ったセリフを思い出した。
『私は、あなたの色んな表情が見たい!大好きなあなたの…たくさんの気持ちを分かち合いたいの…!』
そうだ、恋ってドキドキキュンキュンだけじゃない…色んな表情が見たいって気持ちも恋なんだ…!
…あれ?ちょっと待って。
…えっ!?
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あの後、三浦くんは家に帰り、私は3人とカフェに行ったけど、正直あんまり覚えていない。
ずっと、ある感情がぐるぐる渦巻いていた。
カフェの帰り、私は玲衣奈に問いかけた。
「ねえ玲衣奈、私って恋してるの?」
「へ?」
玲衣奈が混乱している。まあ、無理もない。急にこんなことを聞いても意味が分からないだろう。
「…三浦くん?」
何故わかった。いや、本当になんで?
「だって、碧ちゃんがよく話す男子って三浦くんくらいしかいないし…」
「…ちょっと待って、私何も言ってないんだけど。」
「何考えてるかは大体分かるよ。何年の付き合いだと思ってるの?碧ちゃんだってそうでしょ?」
「まあ、それはそうだけど…」
ふと、玲衣奈が立ち止まって、私に話し掛ける。
「碧ちゃん、三浦くんに対するその気持ちは、恋だよ。」
「…そうなの?」
「そうだよ!だって、今の碧ちゃん、恋する乙女の顔をしているもん!」
「…そう、なんだ…!これが...ふふっ。」
私、増田 碧は高校1年の夏休み、恋をした。
恋のお相手は、同じクラスの三浦 海斗くん。
イケメンじゃない、勉強も運動もそこそこ、だけど...
感情豊かで、誰にでも優しくて、優しい表情が、笑顔が、とっても素敵な男の子。
次へ続く!
全2話と言ったな…3話…いや、もしかしたら4話になるかも…
分かりません!次回も碧ちゃんの話です!




