梁瀬 小春の無自覚な初恋(2)
小春ちゃんの話、第2話です。
あの短編の裏話です。
「おい、起きろ。」
「うぅ…眠い…あと少し…」
「今日も学校だぞ。早くしないとおいていくぞ。」
「駿太!朝ごはん出来てるよ!早く起き…てるわね。あら小春ちゃん。小春ちゃんも早く起きなさいよ。」
「むぅ…起きるよお…ふぁあああ…あ…駿太…おはよー。」
「おはようさん。ほら、早く下りるぞ。」
私は眠け眼で階段を降りる。
…
…
…!
私駿太の部屋で寝てた!!!???
いや、昔から一緒に寝るのはしてたけど!
昨日は客間で寝てたはずなのに…!いつの間にか駿太の部屋に来ていたなんて…なんかすごいな私。
階段を降りると既に朝食が用意されていた。…私の分も。
「いつもすみません…朝食を頂いちゃって…」
「良いのよ。あなたのお母さんには昔お世話になったし…それに!お礼としていつも美味しいお菓子を頂いているからね。子供は気にしなくて良いの!」
駿太のお母さん、優しいなぁ…美人でお茶目だし、こんな人がお義母さんなら楽しいだろうな…
気が早すぎるわ。
まだ付き合ってすらないのにこうやって考えるのはだいぶ重傷だよ!
私が内心で悶えていると、駿太のお母さんが駿太に話し掛ける。
「そう言えば、今日のお弁当は特別仕様だからね!ちゃんと全部食べなさいよ!」
「いつもちゃんと全部食べてるじゃん。」
「そうだけど、今日は念を押さなきゃと思って。」
「ふーん…まあ、楽しみにしてるよ。」
楽しみにしてるだって…!嬉しい!
駿太のお母さんを見ると、私に向かってウインクした。
駿太に美味しいって言ってほしいな…
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なんか恥ずかしくなったので家に帰ってしまった…
いやだって、駿太の前でニヤケ顔出せないじゃん!
お母さんが私の様子を見てニヤニヤしていた…
私はお母さんをキッと睨み付けてから家を出た。…ぶっきらぼうな「いってきます」と一緒に。
外に出たらちょうど駿太も家から出てきた。駿太が私に話し掛ける。
「忘れ物はないか?」
「もう大丈夫よ。そっちこそ、忘れ物はない?特にお弁当は忘れないでよね。」
「わかってるよ。ちゃんと入ってる。」
良かった。これで忘れられたら私の作戦は失敗に終わるからね。…忘れられてなくても失敗に終わるかもしれないけど。だって駿太鈍いし。人のことは言えないけど。
通学中はいつもおしゃべりをしている。元々話題には困らないが、お互いの交遊関係が増えたことで余計に話すことが多くなった。いつの間にか校門に着いてしまった。
…もっと話したいな…最近いつも思ってる。
お互いに友達が増えたのは良いことだけれども、その分2人でいる時間は短くなる。
ずっと2人きりで生きていくのは無理なのは当然分かっているけど、それでも寂しいものは寂しい。
…久し振りに遠出したいな。
そんな思いを隠しつつ、私は駿太と別れる。
私は3組、駿太は1組だ。
「じゃ、私こっちだから。」
「おー、またな。」
軽い会話だが、駿太の「またな」の言葉1つで舞い上がってしまう私は初恋の病の重症患者かもしれない。
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休み時間、私は2組にいた。百合奈に軽く報告したかったからだ。でも…
「…」
ご覧の通り、百合奈がさっきから神妙な面持ちで考え込んでいる。どうしたのかな?
休憩時間が終わってしまうので、私は百合奈に話し掛ける。
「あのー、百合奈さん?どうしたの?」
「…あなた達やっぱり特殊過ぎるわ…」
「えっ?どこが?」
「…それを自覚してないのが恐ろしいわね。」
「うーん…確かに距離は近いと思うけど…」
「近すぎ!…そうか、洋介くんは近くでずっとこれを見てたのか…そりゃそうなるわ…」
「そ、そこまで!?」
「そこまで!!さっさと告白して付き合え!」
今明かされる衝撃の事実。確かに幼馴染みだから距離は近い方だとは思っていたけど、そんなに言われるほどだったんだ…
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「駿太、行くよ。」
「おー」
昼休み、私は駿太と中庭に来た。今日は「特別な」お弁当なので、2人で食べようと約束したからだ。
中庭は意外と知られていない昼食スポットなのだ。
「「いただきます。」」
駿太が弁当の蓋を開けた。ふりかけご飯に玉子焼き、ミートボール、ほうれん草のおひたしにポテトサラダ、ミニトマトも付いている。デザートはリンゴのウサギだ。どれもこれも駿太の大好物、ミニトマト以外は頑張って手作りしました!
ものすごく時間がかかった!ここまでは多分もうしない!!!
「うん、美味しそうだな。」
駿太が嬉しそうに言う。うへへ…嬉しい!
駿太は玉子焼を一口食べると首をかしげて言った。
「味が違う…?」
ビクッと体が震える。お、美味しくなかったかな…?
駿太が私に話し掛ける。
「小春が作ったのか…?」
「そ、そうだけど…美味しくなかった?」
「いやいや、旨いよ!いつの間にこんなに上手くなったんだ?」
「お母さんやおばさんに教えてもらって…美味しく出来たのなら良かった…!」
「昔は俺と一緒にホットケーキを爆発させていたのになあ…」
「そ、それはだいぶ昔の話でしょ!今はもうしないよ!」
「さすがにわかってるよ。今年もチョコ旨かったし。」
「ふふーん。良かったらまた作ってあげるよ。」
「本当か!嬉しい!」
「じゃ、楽しみにしててね。」
よし、絶対また作る。…なるほど、お母さん達のモチベーションはこれか。
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帰り道、いつも通り駿太と帰っていると、斜め上から駿太の視線を感じた。
「駿太、どうしたの?」
私は斜め上を向いて駿太を見る。…いつの間にかこんなに大きくなってたんだな…私も結構背が高い方だけど、駿太はもっと背が高い。
私の問いに駿太が答える。
「いや…何でもない…」
…ん?なんかそっけない?
どうしたんだろう…?何かいつもよりぎこちないなぁ…
うーん…わからない…
モヤモヤを抱えたまま、私は家に帰った。
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私は家に帰ったあと、すぐに駿太の部屋に向かった。
(どうしてもさっきの反応が気になる…!)
駿太のお母さんと少し話したあと、私は駿太の部屋の前に来た。
「駿太?入るよ?」
返事がない。けど部屋には居る。何故なら謎の呻き声が聞こえるからだ。
「入るよー…」
大丈夫だよね?と思いながら私は駿太の部屋の扉を開けた。
「あああああ~~~~~~…マジかー…」
なんかベッドの上で唸ってる。なにやってるんだろう…なんか難しい顔をしている…悩みごとかな?
「小春…好きだ…」
「えっ」
…
…えっ?
ええええええええええええええええ!!!???
待って待って待って待って!!!急に何!?いきなり告白されたんですけど!!!
意味分かんない!意味分かんない!!!
えっ?私が居るって気付いてる!?いやそれにしたって雑すぎるわ!いくら幼馴染みでも、もっとこう…雰囲気とか!あるじゃん!
…あれ?駿太がこっちを見た。
…めちゃくちゃ驚いてるな。これ気付いていなかったパターンか。
仕方がない、私がしっかり言ってやろう。
たった今、私の気分は最高潮になったのだ。
「私も駿太のこと、好きだけど?」
ふふふ…言ってやったぜ!…って、全く反応無いし。
「おーい、なんか反応してよー」
私が覗き込むと、駿太はビクッと反応して、静かに口を開く。
「い…いつから…?」
「それはどっち?部屋に入ったことか、私が駿太のことを好きなことか。」
「ど、どっちも…」
「部屋に入ったのはついさっき。一応声かけたよ?…それと、好きなのはずっと前から…気付いたのは最近だけどね。百合奈と話してたら、初恋にやっと気付いちゃったんだ。我ながらかなり鈍いけど…」
私は駿太の目を見てしっかり話す。この思いはしっかり伝えなければならない。
最近までは全く意識してなかったけれど、今になって分かったことがある。
私は駿太とずっと一緒にいたい。
私と駿太は幼馴染み。小さい頃からずっと一緒にいた。だからこそ思う。
私には駿太がいないとダメなんだ。近くに駿太がいない人生なんて考えられない。
だから、私は駿太にはっきりと言う。この関係に新しい名前を着けるために。
「そ、それで…私たち…両想いで良いんだよね…?こ…恋人で良いんだよね…?」
…ちょっと詰まっちゃった…嬉しさで踊っちゃいそうな気持ちを抑えながら話しちゃったから、少しぶっきらぼうになっちゃったかも…
そんな気持ちの私をよそに、駿太は気恥ずかしそうに話し出す。
「い、良いよ…恋人で…俺も小春のこと…好きだよ…彼女にしたい…」
「彼女で満足?」
「結婚したい!!!!!!」
「ちょっと…返事早すぎ…ふふっ。」
いや、本当に早いよ!でも…好きだ~…こういうところが本当に好き。抱きしめたい。
「こ、小春…」
「なあに?」
「だ、抱き締めても良い?」
「ん!」
駿太が私をそっと抱き締める。すごい…なんか、しっかりしてる。なんか…すごく安心する。
ハグをやめた駿太が再び私に話す。
「き、キスしてもいい?」
「ん!」
私は待ち構える。すると、そっと駿太の唇が触れた。
ほんの一瞬、少し触れただけだったけど…
私は、一生忘れない。
照れた駿太が私に話し掛ける。
「こ、これからよろしくお願いします…」
「これからもよろしくね!私の大好きな彼氏さん!」
無自覚だった私の長い長い初恋が終わりを告げた。
これからは、2人で新しい愛を育んでいく。
ーーーおまけーーー
どうやら駿太、今日私への恋心に気付いたらしい。
遅すぎるよ!人のことは言えないけど!
このニブチン!!!
おわ…らない!次へ続く!
これで終わりと言ったな…あれは嘘じゃ…
(すみません、もう1話続きます。)




