三浦 海斗という男
今回は占い師君の話です。
ややコメディ寄りの話です。
俺はモテない。生まれてこの方彼女なんていたことがない。顔も良く無いし身長も低い、運動も勉強もそんなにできない。そんな俺が今…
「三浦くーん、お疲れっ。はい、ジュース。」
クラスの女子に優しくされてる。惚れそう。
…はっ!まずいまずい、これでは中学時代の二の舞だ…
そう、俺はこれで勘違いしてこっぴどく振られたのだ…うっ!頭が…!
思い出すのは止めておこう…俺の命に関わる…(ついでに作者も)
今日は文化祭、我らが1年5組は占いの館をしている。そして俺は占い師役をやっている。クラスメイトに占い好きがバレたからだ。
とはいえ、占い師は当番制だ。今しがた、俺の当番は終わった…リア充ばかりで辛かった…!くそう、爆発しろ。
特にあの金髪イケメンとおとなしげな女子のカップル…!イチャイチャしやがって…あれで付き合ってないとか意味わかんねえぞ…!
とまあ、リア充に対する怨念(八つ当たりとも言う)を心の中で撒き散らしている最中、クラスの女子が近づいてきて、冒頭の場面に戻る。
(な、何故俺に声をかけるんだ…?ま、まさか…いやそれは絶対無い!クラスメイト皆に声をかけているんだろう。増田さんは社交的だからな…!)
俺に声をかけたのは同じクラスの増田 碧さんだ。美術部に所属していて、アニメや漫画が好きな、いわゆるオタクだが、物凄く社交的で明るい人だ。
(俺みたいな陰の空気を漂わせているオタクとは全然違うよな…)
「?ねえねえ、飲まないの?ジュース。」
「あえっ!の、飲みます!ありがとう!」
しまった、考えすぎた。大丈夫かな…『ヤバ、コイツなんか変な目で見てる』とか思われてないかな…
…ぶどうジュース、旨いな。俺ぶどうジュース好きなんだよな…
「おいしい?」
「えっはっはっはい!」
「ちょーっと飲ませてっ!」
ひえっ!?こここここれはかかかか…かんせ…ひええ…陽キャ怖い…
「うん、おいし。ありがとね!じゃ、私用事があるから!またね!」
い、行ってしまった…もっと近づ…いや待て待て待てそれはキモいぞ俺!
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ここ最近、増田さんがすごく絡んでくる。
いや、元からそこそこ話しはするし、オタク談議もしたことがあるんだけど…
「ねえねえ、このシーンなんだけどさ…」
…近いっ!!!
何か距離近くない!?いや、以前から距離は近い方だったけど!クラスメイトの女子によく抱きついているし。
でも…何か文化祭以降、距離が近くなってる…
か、肩が当たってるし…顔が良い…ほ、惚れちゃう…
その後、距離の近さが変わらないまま、2学期を終えるのであった…
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終業式の日、クラスでカラオケに行く事になった。
まさか誘われるとは思っていなかったが、折角なので行く事にした。クラスメイト達は陽キャばかりだが、俺みたいな陰の者にも優しくしてくれる。
俺は基本的にアニソンしか歌えない…が、今の時代、有名歌手がアニソンを歌っていることが多いので助かるのだ。
そういうわけで、今のところなんとかなってる。クラスメイトも気付いてはいるだろうが、茶化してくる様子はない。助かる。
茶化されない理由はもう1つ、増田さんも同じ戦法をとっている。
(まあ、アニメの趣味俺とほぼ一緒だしな…)
つまり、俺を茶化すとクラスで人気のある増田さんも茶化すことになる。クラスの男子達もそれは避けたいだろう。
(それにしても、増田さん声が良いな…)
低めの声がかっこいい曲に映えるなあ...俺は声が高めだからかっこいい曲が中々上手く歌えないんだよな。
そう思っていると、増田さんが俺に近づいて話し掛けてきた。
「ねえ、デュエットしようよ!この曲、三浦くんくらいしか知らないしさ!」
「えっ。」
いや、確かに知ってるけど!…ま、まあ、増田さんが誘ったからな!やぶさかではない、嘘、めっちゃ嬉しい。惚れちゃう。
(…俺ってチョロいな…モテないからな。)
俺たちの歌は高得点を叩き出した。
(すげえ…俺こんな点数取ったことねえ…)
「三浦くん、すごいじゃん!私こんな点数初めて取ったよ!」
えっ!?あんなに歌上手いのに!?」
あっやべっ。声に出た。
増田さんはニカッと笑って話し掛ける。
「そう思ってくれるのは嬉しいけど、本当だよ。相性良いんだね、私達。」
止めてください。その思わせぶりな態度…好きになっちゃう…元々かなり好きではあるけど…!
俺の心が乱されながら、5組のカラオケ大会は幕を閉じた。
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もうすぐ日が落ちる頃、クラスの皆はそれぞれ解散となった。一部は晩ごはんを食べに行ったり、お泊まり会をするみたいだ。俺は帰ります。
俺が帰りかけると、増田さんが声をかけてきた。
「三浦くん、帰る前に…ちょっと寄ってかない?」
「うえっ!あっうっうん…!良いよ!」
めちゃくちゃ変な声出た。
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というわけでアニメショップにいます。
俺達はグッズを見ながらアニメ談議をしている。楽しい。
あれ?そう言えば…
「ねえ増田さん、あっちは行かなくて良いの?」
俺が指を指したのはBでLなコーナーだ。俺は詳しくないが、増田さんは好きみたい。
増田さんが慌てたように口を開く。
「いやいやいや...私の趣味に付き合わせちゃ申し訳ないし…」
「良いじゃん!増田さんの視点、俺には無いから聞いてて楽しいんだよね。」
「えっ。」
増田さんが驚いた表情で見ている。やべえ、俺選択肢ミスった?
増田さんが少しうつむいて話す。
「わ、わかった...一緒に行こ?」
やべえ、調子に乗りすぎたか…?
でも、普通に話しているし、怒っているわけでは無さそうだ…良かった。好かれはしなくとも、流石に嫌われたら立ち直れない。
俺は増田さんが楽しそうに話す姿に少し見惚れながら、談議をしていった。
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すっかり遅くなってしまった…
今、夜の住宅街を2人で歩いている。
俺が「送るよ。」と言ったら増田さんは少し遠慮した後、「良いよ。」って言ってくれた。
家まで一緒は流石にキモかったかな…でも、夜に1人で帰らせるわけにはいかないしな…家族の人に迎えに来てもらう選択肢がその時はすっかり抜け落ちてた。改めて考えるとそっちの方が良かったな。
俺がそうやって考えているうちに、増田さんの家に着いた。
終わってしまった。もう少しだけでも話していたかった。
いつそう思ったかはわからないが、どうやら俺は増田さんに恋をしているみたいだ。
でも、その恋心はしまっておく。増田さんにとって俺はただの友達だ。
「ね、ねえ…」
「ど、どうしたの?」
増田さんが急に話し掛けてきた。俺は声が上ずってしまった…増田さんが話を続ける。
「あ、あのさ…明後日、空いてる?」
「あ、空いてる…けど…」
「よ、良かったら、遊びに行かない?」
「い、良いよ!遊びに行こう!何処に行く?」
「えっとね…アニメショップや本屋に行きたいな、あと、あのアニメの映画も見たい。」
「良いね!行こう!」
「そ、それでね?…私の家で過去作の鑑賞会…しよ?」
「良いよ!…!…えっ!?」
待て待て待て待て!それはまずい!家はまずい!
「あ、あの!増田さん!」
「ん?どうしたの?」
「そ、その、心を開いていただけるのはありがたいのだけれども...流石に男の俺を家に招くって言うのは…」
「大丈夫だよ。ちゃんと家族には言っておくし、夜になったら皆帰ってくるから!」
「余計ダメだよ!?」
ま、待って…!?増田さん、心底不思議そうな顔をしている…!ちゃ、ちゃんと言わなきゃ!
「そ、そんな距離を詰めて接されたら、俺!モテないし!チョロいから!好きになっちゃうよ!て言うか、もう好きではあるんだけど…じゃなくて!その…増田さんが俺のこと好きだって…勘違いしちゃうから…!」
…待って!?俺何て言った!?何か告白みたいなこと口走ってなかった!?
ヤバい…どうしよう…増田さん、うつむいてるよ…俺の人生、終わったよ…
「ね、ねえ…」
「ま、増田さん!い、今のは…!」
「勘違い、しても良いんだけど。…っていうか、勘違いじゃないし…」
「えっ…」
…えっ!?
おしまい
序盤地味にダメージ喰らいましたが、その後でなんとか立ち直りました。
青春って良いなあ…




