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ハーミット・リスタート【入学編】7ページ目 ルームメイトに挨拶しよう

寮母のエリーからの説明を受け。

自分の部屋へと向かったレオナだったが。

これから生活を共にするルームメイトは。

彼女戸惑わせるには一癖も二癖もあった

エリーからの寮の規則などの説明を受けると。


レオナとレイシは彼女から。


各々の部屋のカードキーを受け取った。


「門限である八時を過ぎてカードをセンサーにかざすとブザーが鳴ります。予め言っておきましたからね」


真面目な雰囲気はそのままに。


エリーの口元が不敵にニヤリと吊り上がったので。


レオナとレイシの二人は苦笑いした。


「お疲れでしょうし、お部屋に着いたらごゆっくり。今日の夕飯は六時になりますので」


一通りの説明を終えてエリーはその場に残り。


新しい寮の住人を見送ろうとしている。


(なんか緊張してきたな)


実家以外での新生活。


幼い頃には一軒家に住んでいたものの。


その数年後には集合住宅暮らし。


オープンスクールを卒業後は。


自分も家族も共働き。


食事も一人で摂ってばかり。


そんな自分がルームメイトと一緒に。


集団生活をしようとは。


これまでとは異なる生活のスタイルに。


レオナは戸惑いから緊張が隠せなかったが。


一方でレイシは飄々と荷物であるキャリーケースや。


トランクと共に自分の部屋へと向かっていた。


「んじゃ、荷物置いたら談話室で待ってっから」


「ちょっ、レイシ」


「ヘルシィがここ来る途中に言っていたろ。二階の中央の建物だって」


今の時間は午後四時三十二分。


五時に談話室へ行き。


一時間くらい話して。


そのまま夕食。


今日はがっつり荷解きはせず。


明日やればいい。


入学式までまだ一週間もある。


焦る必要はない。


レオナはそう自分に言い聞かせ。


エリーと一緒に男子棟へ行くレイシを見送ると。


自分もこれからの住まいになる一室へと向かった。


西の女子棟へ向かおうとした際。


レオナを引き止めるようにエリーが。


彼女に一声かけた。


「レオナさん、あなたのルームメイトはもう既に入室しています」


「そうなんですか。ちなみにどんな人です」


「面白い人、でしょうか。あなたならすぐ仲良くなれますよ」


「良かったら、その人のお名前を教えてもらえますか」


「それは本人と会ってからのお楽しみにしましょう」


にこやかなエリーの表情が返って心配になる。


しかし、立ち止まってはいられない。


期待と不安を胸にレオナは改めて自分の部屋に向かった。


B120。


それがレオナの部屋の番号。


(どんな人なんだ)


中にいるルームメイトのことを考えながら。


レオナはセンサーにカードキーをかざした。


ピッ。


解錠の音が鳴り。


レオナはドアの取手を手に。


扉を開けた。


「失礼します」


レオナが見た部屋は。


勉強机が部屋の奥と手前に一つずつ置かれ。


その机の位置に対応してベッドが配置された内装だった。


基本的には。


しかしながら、ルームメイトであろう人物がいる。


部屋の奥側には様々な音響機器があり。


海外の機械国家であるネクストリー合衆国の。


ミュージシャンのポスターが壁に貼ってあり。


彼女の机にはMAGのタブレット端末があり。


猫耳を彷彿とさせる白のヘッドフォンを着けて。


目を瞑り。


現在進行形で音楽の世界に。


レオナのルームメイトはひたっていた。


(自分のスペースには何ないけど、なんかスゴイことになっている)


これから自分が利用する手前の机やベッドなど。


レオナのパーソナルスペースまで。


ルームメイトの私物は拡がっていないものの。


同居人のインパクトにレオナは困惑していた。


(面白い人だとは聞いていたけど)


多分、自分が部屋に入って来たことにも気づいていないだろう。


そう思いレオナは一旦自分の荷物を。


手前にある自分用のベッドの近くに置くと。


音楽に聞き入っているルームメイトへと。


近寄り、ポンと軽く彼女の肩を叩いた。


「あの、ちょっといいですか」


レオナのアクションに。


ルームメイトの彼女は。


MAG端末を操作し。


ワイヤレスのヘッドフォンを机に置き。


自分を訪ねてきたレオナへと向き直った。


改めてレオナはルームメイトの姿を見る。


パステルブルーのロングヘアーに赤い瞳。


吊り目で色白で猫を思わせる顔つき。


ほっそりした体型とは対照的に。


どこか威圧的な雰囲気を醸し出している。


そんな彼女のレオナへの第一声は……。


「誰。いつここに入ってきたの」


完全に自分の存在を度外視していた彼女に。


レオナは作り笑いを浮かべ。


簡単な自己紹介をした。


「さっき入って来たの。あなたのルームメイトのレオナ・ストレングスだよ。よろしく」


「ふうん」


大して興味のなさそうな顔をして。


レオナのルームメイトはしばらくレオナと見つめあっていた。


一分後。


突然、抑揚のない声でルームメイトの彼女は。


レオナへと自己紹介した。


「シエル・テンパランス。よろしく」


それだけレオナに伝えると。


シエルは再びヘッドフォンを装着して。


音楽を聴き始めた。


ルームメイトのそんな勝手な様子にレオナは。


呆れよりも不安が勝った。


(ここでやっていけるのかな)


シエルは音楽を聞き。


レオナは戸惑い。


時間は経っていく。


まだ四時五十二分。


ヘルシィからの通知はレオナのPMAGウォッチに。


届いていない。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

またレシートネタですが。

休みの日に買い出しを終えて。

レジ袋の底に溜まっていた。

その日の内の複数のレシートをまとめると。

自分がどこでなにをしていたのかが。

なんだか自分の一日を。

振り返っているようで。

というか、買いすぎちゃったかな。

なんて。

お金の使い方を。

小さい頃のお小遣いみたいに。

感じてしまって。

ちょっとだけ恥ずかしい気分になりました。

では、次回の更新は9/3の17:00になります。

残暑にさしかかりますが。

読者の皆様も体調にはお気を付けください。

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