表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/9

ハーミット・リスタート【入学編】3ページ目 出会いは偶然か必然か

大都市の繁華街の景観にレオナは目を奪われる。

しかし、そんな彼女を物陰から狙う者がいた。

首都メロディアント駅は広大で。


魔導車のバスターミナルもあり。


駅としてだけでなく大型デパートや劇場まで併設されているほどだ。


今現在レオナとヘルシィが扮するダグのいる螺旋階段のある大画面は。


北にある駅の出入り口の近くであり。


そこは二人がこの春から通う予定である。


カップアンドコイン魔導学院の寮へのスタート地点だ。


「ここから歩いて三十分くらいだよ」


「駅の場所を考えたら高そうな場所にあるのね」


「学校の敷地内だしからね」


「ていうか、ダグ。荷物は」


「もう寮に運んでおいたよ」


「早っ」


「といっても、ルームメイトとはまだ顔合わせしていないけどね」


「へえ、あれ。地下鉄は使わないの」


「地下鉄やバス使ってもいいけど、首都をちょっと歩いてみない。レオナはメロディアント初めてでしょ」


「そうだけど、なんか怖いな」


「大通りを進むから治安はマシだよ」


「んー、怖い気はするけど、ここにずっといるわけにもいかないしね」


「そうこなくちゃ」


「んじゃ、行きましょ」


ダグに案内されレオナは駅の外へ。


自分が生まれ育ったトランシープも決して田舎というわけではないが。


国の首都ほどの大都市を訪れるのはレオナは初めてだった。


構内から出てみる景色は。


一目で少女の心を魅了した。


「うわあ、すごい」


人、人、人。


たくさんの人と魔導車が行き交う大きな道路。


人は人で広い歩道を進み。


駅の前はロータリーで多くの車が停車し。


その先の車道は四車線で交差点になっており。


赤青黄三色の信号機で一時停車している。


そして、レオナが目を奪われたは。


隙間なく敷き詰められたタイルの如く乱立したビル群だ。


簡素な灰色の建物から。


大型のディスプレイが高い位置に設置された派手なものもある。


形も単純な縦長長方形だけでなく。


円柱から屋上に奇抜なオブジェが置かれたものまで様々。


「こんな建物地元じゃ見られないわ」


「駅の近くの繁華街だからね。もう少し歩いたらまた落ち着いた場所になるよ」


正直ダグの案内がなければ迷っていた。


都会のあまりのスケールの大きさにレオナは圧倒されていた。


衝撃の強さ、感動の大きさに足が止まっていると。


つい、荷物を握る手も緩んでしまう。


(これからこの街で生きていくんだ)


新鮮で圧倒的な景色を目の当たりにし。


トランクもキャリーケースも。


レオナは荷物への注意心が薄まっていった。


そして、それを見逃さなかった者もいた。


ドンっ。


「きゃっ」


「へへ、おのぼりさん。じゃあな」


黒い布で口元を覆い。


黒い帽子を深く被り。


人相を隠した男が緩んだレオナの手からトランクを奪っていった。


恐らく、獲物を吟味していたのだろう。


盗人の男は駅の柱の影から。


ものすごい勢いで走り出し。


目当ての品を奪い去っていったのだ。


「泥棒っー」


「レオナの荷物を返せ」


走る男にダグは杖を上へと掲げた。


杖に吊るされたランタンに緑の火が灯り。


魔法が発動する手前だ。


「ぐあ」


レオナと同い年ほどの少年が二人。


泥棒の男の腕をそれぞれ左右に一本ずつ取って組み伏せた。


右の腕を持つのは、銀髪で白いシャツと茶色のジーンズの上下長袖の美少年。


左の腕を持つのは、長い黒髪を後ろで結ったヤマタイの着物に身を包んだ少年。


ヤマタイ衣装の少年は紺色の布に包まれた長物を背負っている。


「ぐぐぐっ」


「荷物をあの子に返せ」


「この国に来て早々善行を積むなんてな」


二人の少年の力に盗人は耐えられず。


レオナから奪ったトランクをその手から落とした。


「ありがとうございます」


盗人が成敗された場所まで。


レオナはキャリーケースを引きながら。


ぜえぜえ息を切らしながら走っていった。


「いえ、当然のことをしたまでです」


「これくらい当然。当然」


二人は笑顔でレオナに返答した。


この時彼女の後ろにいたダグは。


銀髪の少年のズボンに入っていた。


カップアンドコイン魔導学院の縦長のパンフレットが目に入り。


密かに笑った。

ここまでお読みいただきありがとうございます

今回からまた新しい舞台や新しい登場人物など。

前作『ハーミットなごちそう』とはまた読み味も異なると思います。

よろしければ、また長く付き合ってくだされば幸いです。

それとコメントをくださった読者の方、感想の内容を拝見させていただきました。

ありがとうございます。

定期的に感想やレビューにも目を通しておりますので、ご安心を。

それでは、次回の更新は8/6の17:00となります。

お楽しみください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ