ハーミット・リスタート【入学編】25ページ目 私の担う教室
寮にある学園の教職員用の部屋は。
生徒と異なり一人用の個室であり広々使える。
先日学園に赴き資料に目を通したのだが。
色々な感情が湧いてきた。
そうだ。
手記をとり、この気持ちを言語化しよう。
というか、先行きが見えなくて。
落ち着いていられない。
この世界には様々な国があり。
様々な人々がいる。
その中に亜人と呼ばれる種族がいる。
生まれながらにして魔力を持った。
幻獣や異形なる特徴を持った者達だ。
現在確認できるだけで。
五十種ほどいるのだが。
ドラゴンの素質と高い魔力を併せ持つ竜人。
満月下では特に強い獣としての本領を発揮する人狼。
森の賢者にして統率者である半人半馬のケンタウロス。
海中の住人にして魔性の歌声を持つ人魚族。
変身能力を持つ沼地の番人クレイマッド。
高い知性と独自の魔術を駆使する吸血鬼。
他にも様々な種族がいるし。
この学園に見学をした際に。
人狼やケンタウロスの生徒に。
魔法で尾を足へと変化させた人魚族の子も目にした。
みんな他の生徒同様に。
学園生活を謳歌しており。
大変微笑ましかったのだが。
見る分には言いのだが。
これが教師として。
彼らを受け持つ分にはどうだろうか。
繊細な配慮や生徒間同士での対立の仲裁。
考慮すべき項目もまた多いだろう。
更に私の担当するMAG課には。
魔力を持たぬ者もいる。
マギカームと称されるのだが。
MAG端末の普及により。
死語となりつつもあり。
また現在では差別的表現でもあるとして。
言葉にする人々はどんどん減っている。
だからこそなのか。
この手記で留めるからこそ。
今の私の気持ちを吐き出しておきたい。
というか、書き記しておきたい。
竜人に、人魚族、吸血鬼、マギカームの生徒に。
加えて。
ドルフィンキックフロンティア社の。
アーツマグロイドってなんなんだ。
人型のゴーレムなのか。
社長のルーレッツ・ジャッジメント氏の意向なのだが。
ええい、考えてもしょうがないし。
生徒に失礼かもしれないが。
正直、教師として上手くやっていけるか。
不安だ。
願わくはこの手記が。
一年でも、二年後でも。
最初はこんなことも考えていたなと。
思い出の一ページとして。
読み返したときに。
笑えれば幸いだ。
スパーク・ガルムズの手記『まだスタートすらしていない教師の自分』
ここまでお読みくださりありがとうございます。
大晦日で、一年がまさに終わろうとしています。
そして、また新しい年になっても。
読者の皆様が。
変わらず健やかに今作の連載を追ってくださるのであれば。
私としてはとても嬉しい限りです。
では、次の更新は年明け1/7の17:00となります。
みなさん良いお年を。
ちなみに次回はレイシ同様に。
アップする予定のない。
タイムトラベル風の過去作のキャラを。
今作用にアレンジして登場させるつもりです。
先出しでお教えするその名前は“イオン”です。
もう一つ。
短期集中連載として。
『冬休みの通学路』も本日更新されております。
そちらもぜひよろしくお願いします。




