ハーミット・リスタート【入学編】23ページ目 真実へ至る道のり
自分がやるべきことはなんだろう。
この地で消息を絶った姉を探すこと。
学園生活を送ること。
そんなものは決まっている。
レイシは待ち合わせの場所へと赴くのであった。
どうしようもない。
ああしようもない。
なんで、自分がこんな役目をしているんだろう。
頭の中に疑問だけが浮かび続けていく。
理不尽とまではいかない。
それ故にレイシは自分の現状が。
どこまで自身の望んだものなのか。
自問自答し。
仕方がないと割り切ろうとしていた。
春からの学生生活のために。
既に教科書も制服も揃え。
入学式までの自由な時間を。
レイシはメロディアスで行方不明となった姉を。
探すために使っていた。
真面目にメロディアスで働いていた姉が、なぜ。
疑問に不可解な点だらけであるものの。
レイシは己に与えられた姉を見つけるという。
役割に臨んでいた。
「反省文を書き終えるまで、食事は抜きです」
「くうう、なんでだ。変な事は言っていないのに」
朝食を終え。
入り口で寮母のエリーがイーガを注意しているのを他所に。
レイシは自分の持ち物である袋に包んだ長物と一緒に外出した。
向かう先はメロディアス東部にあるレトロジーン地区。
地下鉄に乗り。
住宅地に入り、更には人気のない公園を通り過ぎ。
MAG端末の影響を、時代の流れを受けていない。
レンガや木造の商店が並ぶ通りにレイシは入り。
その一角である。
釣具店へとレイシは足を踏み入れた。
看板には店名である『えびとたい』とヤマタイの文字で書かれており。
様々な釣竿や釣具に釣り餌などが陳列された。
照明も点いていない陽の光だけが差す。
薄暗い店内の奥。
店番をしている髭面の男性へと。
レイシは近ついて行った。
「いらっしゃい」
「黒盾鯛を釣るのにいいルアーはあるかい」
「ん、黒盾鯛なら乾燥海老の仕掛けで釣った方がいいよ」
「いいや。大物狙いだからルアーがいい」
「物好きだねえ。ちなみにどこで釣るんだい」
「ハニービーかホーネットルカだが、どっちがいい」
「ふう、おすすめの場所を教えてやるよ」
髭面の店番の男は。
自分の後ろにある木の扉を開けて。
その先へとレイシを案内した。
「ありがとうございます」
レイシは男に礼を言うと。
ドアの先にある。
壁側に燭台が設置され。
蝋燭の明かりが灯された通路を進んだ。
突き当たりには鉄の扉があり。
レイシはそこに手を触れた。
「依頼していたレイシ・スズナリだ」
その一声から、数秒後。
扉は独りでに開き。
その先には奇妙な空間が広がっていた。
「お待ちしておりました」
全体が暗く。
木製の机の上に。
大きな燭台があり。
廊下に並んでいたものより。
大きな金属の蝋燭にはひっそりと日が灯され。
不気味な暗闇に覆われた。
この部屋の主人の姿を。
照らしていた。
茶色のローブを纏い。
フードで顔全体を覆い被せ。
更に特徴的なのは。
両目の箇所に覗き穴がついただけの。
不気味な円盤状の黒い仮面で。
自身の姿や表情を隠した人物がいた。
声は魔法によるものなのか。
気味が悪い程に低くどんよりとしており。
性別や年齢も声で判断できない。
そんな得体の知れない人物に。
レイシは長物を包んでいた袋を取り外してから。
ここに来た目的を告げた。
「オレに真実を掴み取る秘技と真実を手繰り寄せる秘技を教えてくれ」
袋が取れ、露わになった長物の正体は。
針も糸もない。
一本の海の如き藍色の光沢のある釣竿だった。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
だいぶ寒くなってきましたが。
読者の皆様が健康でお過ごしいただけるよう願っております。
自分も体調を崩さぬよう気をつけます。
次回の更新はクリスマスイブの12/24の17:00です。
ぜひ、お楽しみに。
最後に。
短期集中連載の予約投稿が思ったよりも早く完了しましたので。
その告知が活動報告にございます。
そちらも見ていただければ幸いです。




