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ハーミット・リスタート【入学編】17ページ目 灰色の卵から孵った翼 

予定より早く荷解きが済んだレオナの。

PMAGウォッチにダグからの着信が届いた。

それに対して返信したレオナは。

ダグの待つ談話室へ向かうのだが。

彼は金属の箱を両手に抱えていた。

朝食を済ませ。


荷解きも終え。


それでもまだ午前11時過ぎ。


一日はまだまだ残っている。


時計を見ながらレオナはこの後の予定を。


自分の部屋で大雑把に考えていた。


(教科書を買いに行こうかな。私の場合は取りに行くだけど)


レオナの机の上にある白い縦長の二枚の引換券。


その内の一枚は書店の名前と。


春の授業で使用する教科書のリストが記載されていた。


その項目には魔導書すら連ねている。


(制服も早く着たいけど、明日予約した時間じゃないとダメだし)


もう一枚の引換券には。


カップアンドコイン学園の制服を販売する洋装店の。


名前と予約された日付と時間が記されている。


昨日、レイシとの談話後に。


寮母のエリーがレオナの部屋を訪ね。


彼女にこの二枚の引換券を渡していたのだ。


(相変わらずシエルは音楽ばっかり聴いているし、声かけづらいな)


ルームメイトであるシエルが。


自分に関心を示さない点にレオナはヤキモキしていたが。


朝食に間に合うように起こしてくれたことを思い出し。


悪い子ではないし。


逆にこちらが迷惑かけたり。


気を遣わせたりする方がよっぽど空気を悪くするだけだと。


ため息すら出さず。


微笑ましくレオナはシエルを見つめた。


そんな時。


レオナのPMAGウォッチに通知が届いた。


『ちょっと見せたい物があるから談話室まで来れる』


メッセージを送ったのはダグ。


昼食の正午12時まで。


時間はまだまだ充分にある。


それでも念のため。


既読がてらレオナはダグへと返信した。


『それってご飯までに間に合う?』


キョトンとするレオナの端末に。


一分もかからず返事が届いた。


『済む済む。とりあえず来て来て』


無視するわけにもいかない。


ひとまずレオナは。


『分かった。すぐ行く』


簡潔な返答だけして。


既読のマークがつくのも確認しないまま。


部屋を出て女子棟から談話室へと向かった。


目的の場所にやってきたレオナが目にしたのは。


銀色の金属の箱を持ってソファに座るダグの姿だった。


「ありがとう。レオナ来てくれて」


「いいよ、これくらい。それより用件ってその箱なんでしょ」


「そうだね。早速中身を見せてあげるよ」


金属の箱はダグの胸元ほどの大きさであり。


それほど大きな物が入っているとは思えない。


レオナはきっとMAG端末がらみの品が入っているんだろうと。


予想していたが。


それはあながち間違いではなかった。


「ほら、これ見てごらん」


ダグは箱をソファ前のテーブルに置くと。


レオナに見せびらかすように。


オーバーな動作で箱を両手で開けて見せたが。


中に入っていた存在にレオナは疑問を抱かずにはいられなかった。


「卵、石?」


箱の中には灰色の小さな卵のような物体が。


クッションとなる赤い布の中央に埋まっていた。


「モナの分体、子機かな。サブモジュールだよ」


「さぶも……なに、それ」


「モナの小さな分身みたいなもんさ」


ダグはニコニコと自分のローブの内ポケットから。


自分のPMAGを取り出し操作すると。


箱の中にあった物体に変化が起きた。


青白い光のラインが卵形の物体に無数に入るや。


砂塵の如く細かい灰色の粒子が。


開いた箱の内蓋に収まる程度に。


一瞬にして球状に拡散した。


拡がった粒子の中央には。


最初に発光したラインと同じ。


青白く光の球があり。


それを核にして散っていた粒子は。


拡散時同様に一瞬にして。


今度は核となる球に引き寄せられ。


新たな姿へと灰色の物体は変形した。


灰色の卵が孵る。


球の時と体色は同じく、灰色の小鳥が箱の中で。


レオナの目前に出現した。


「これがモナなの」


およそ三ヶ月前にダグもといヘルシィの。


敷地内で目にした彼の手持ちの最新式のゴーレム。


粒子状のボディで人間からグリフォンにまで姿を変え。


会話も可能な。


変幻自在の隠者の相棒。


モナをレオナは思い出すも。


記憶よりもずっと小さく。


一目では彼女は小鳥がモナだと。


信じられずにいたが。


そんな思いもすぐに吹っ飛んだ。


「よう、レオナの嬢ちゃん元気にしてたか」


「う、うん」


生意気さを感じさせる小さな男の子の声。


ヘルシィに化けたモナと会話した憶えはあるものの。


素のモナに呼びかけられのは初めて。


卵からの変形以上にレオナは。


困惑した。


「フルート山にある僕のラボでこっそり作ってたのさ」


「へえ。あれ、分身ってことはモナの本体はフルート山にあるってこと」


「そだよ。自宅とかの管理をあっちのモナにしてもらっているんだ」


「便利ね。要は使い魔みたいなもんかしら」


「まあ、そんな感じだね。にしても、ここまで配達するのに時間がかかってね」


「今日届いたってわけね」


「いやあ、家にいながら配達とか買い物できるMAG端末のサービスがあればいいのにな」


「おいおい、おれを荷物扱いかよ。間違ってないけど」


二人と一匹?はそのまま笑い合い。


ふと、少女はあることに気づいた。


「そう言えばレイシは呼ばなかったの。あっ、モナは秘密にしていた方がいいよね」


「いいや、エリーさんに部屋番聞いて呼びかけたけど、朝からお出かけだってさ」


「へえ、って。じゃあ、モナの存在はみんなに教えちゃうわけ、一応最新のゴーレムなんでしょ」


「一応って、なんだよ。一応って。」


レオナの心配をよそに。


ダグは朗らかに彼女の懸念に対して答えた。


「スライムを使い魔にしている人もいるし、大丈夫、夫大丈夫」


「まあ、スライムに限らず人に変身する幻獣を使い魔や眷属にしている魔術師もいるけどさ」


「細かいことは気にしない。気にしない」


マイペースに。


朗らかに。


楽しそうに。


ダグはモナが入っていた箱を閉じると。


他の寮生よりも早く。


食堂へと向かっていった。


昼食の時間まで。


三十分はまだある。


レオナは一度自分の部屋にもどるが。


モナは、灰色の小さな小鳥は。


主人の右肩へととまるのであった。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

これまた今更ですが。

今作の世界ではSNSのツールやプラットフォームはありますが。

我々の世界で当然のように存在するサービスがまだなかったりします。

それら含めて【入学編】の次にあたる【春風のささやき編】で。

伝えられたらいいなと思っています。

さて、次の更新は11/12の17:00となります。

まだまだ【入学編】が続きますが。

楽しんでいただければ嬉しいです。

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