表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/61

第34話 これから突然の準備


 学園に行く事を決めた私は、剣術を練習しながらも学園の勉強をしていた。前回と内容はあまり変わらないが、騎士科の勉強というのがまた少しクセがあった。

 前回私は魔術科に通いながら淑女科の教育も同時並行して受けていた。淑女科も魔術科も前に出るなと教わるのに、騎士科になった途端に前に出て体を張れと言われる。理由は何も変わらないけどそういった前提が違うせいで色々と私が学んできたことと違うこともあった。

 何より騎士科は実技もある。剣術、槍術、弓術……他にも色々あるけど、やってみて自分に合ったものか、やりたいものを選んで実践するらしい。


 私は剣ばかりやっていて、弓も槍もやったことがない。才能があるか以前にそもそも扱えるかどうかが分からない。まぁ、教官も付くという話だし、その時になってから考えよう。

 ルクスにはもう伝えてある。学校は違うが、同じ屋敷に住むことになる。ルクスはもうすぐ王都に行き、学院に通う。試験は既に合格をもらったそうだ。けれど、私が学園に行くと伝えた時の表情が、寂しそうというより……心配そうな顔に見えた。


「何かあれば教えてくれ、僕も一緒に考えるし、悩むから」

「そんなに心配しなくても大丈夫よ?」

「セシリアに何かあったら、嫌なんだ……」


 相談すべきは私ではなくルクスなのではないか。そう思ったが、無理に聞くのも悪いと思って口を噤んだ。私にだって言えないことはある。ルクスにも言えないことがあったっておかしくない。

 それより気になるのは派閥のことだ。あれから、第一王子の婚約者は決まっていない。私との婚約が決まらず、他に当てもないらしく、婚約者については何も進展はなさそうだ。一方で第二王子は派閥内の侯爵令嬢との婚約が決まったそうだ。評判のいいご令嬢で、第二王子とも仲良くしているとフェリスから聞いた。


 現状、王太子に最も近いのは第二王子だ。けれどやはり国王は第一王子を王太子にしたいらしい。このまま何事もなければ良いが、そうも言っていられなくなってきた。

 フェリスから突然届いた手紙。前触れもなく、予定よりずっと早い手紙に嫌な予感を感じながらも封を開ければ、手紙に書いてあったのは予想通りの嫌な知らせだ。


『四大公爵家のひとつ、ウィンザー家が第一王子派の筆頭になった』


 四大公爵家が第一王子についた。残る四大公爵家はシェラード家とサマセット家。どちらも中立だが、こうなってはどちらが王太子になるか分からない。第二王子派の優勢が崩れた。もちろんまだ第二王子の方が王太子に近い。けれどいつ、どうなってもおかしくはない。

 もしサマセット家が第一王子派となれば、第二王子は王太子にはなれない。シェラード家は第二王子派になるしかない。そろそろ中立という立場も難しくなってきた。もし第二王子が王太子になれなければそこで終わりだ。過去に戻るなんて不可思議な現象がそう何度も起こるはずがない。もう二度と、やり直しはできない。


 第一王子の婚約者が決まらないのはまだ私の影響が残っているから。フェリスに頼んで私が意地でも第一王子と婚約したくないことと、私の人を見る目のことをさりげなく噂として流してもらっている。必然的に、人を見る目があるはずの私が第一王子だけは嫌だと拒んだ、という筋書きになる。

 けれどそれもいつまで続くだろうか。裏で根回しするのはフェリスには向かない。こんな時エクスがいればと思うものの、まだシエル達を探してはいないようで、私も動くことができない。


 まずはお父様に相談しないと。昔と比べて、随分お父様達との関係も良好になってきた。相談もずっとしやすくなって、今では夕食は報告会のようなものが度々起こる。一年位前からお母様も一緒に夕食を取るようになって、四人で食卓を囲むことがほとんどだ。

 けど、これは夕食まで待っていられないかもしれない。私は手紙を机に置いたまま部屋を出てお父様の書斎に向かう。サマセット家の動きによって、シェラード家が今後第二王子につくか、それとも中立のままかが決まる。第一王子に四大公爵家のひとつがついた以上、婚約者も早々に決まる可能性だってある。


「お父様! ノックもせずに申し訳ないとは思いますが少々お時間をいただきたいです! 良いですか? 良いですね! はい、話します!」

「落ち着きなさい、セシリア。そしてノックくらいはしなさい」


 時折書斎に行く時にこうしてふざけて入ることがある。一応お父様の予定を考慮した上で、お客様がいない時や重要な仕事をしていない時を見計らってやっている。お父様の執事が密告者なので私だけが悪いわけではない!


「お父様、フェリスから手紙が届きました。ウィンザー家は第一王子につくそうです」

「……セシリア、そういう大事な時はせめてふざけずに入ってくれないか。いや、お前にそれを求めてもどうせやらないな。聞かなかったことにしなさい。それで、第二王子派の動きは?」

「今のところ特には……サマセット家も動きはないようです。ただこのままだと……」

「トリスタン殿下が王太子になる可能性がある……か」


 せめてエクスを味方につけられていれば、まだやりようはあった気がする。けれどないものを強請っても意味はない。まだ第二王子の方が優位ではある。今の状況でできる事をしないと。


「ちなみに聞くが、トリスタン殿下が王になった場合どうなるんだ?」

「色々なものが色々な意味で終わります」

「他に言い方はないのか……」


 そんな事を言われても具体的に国が滅ぶかもしれませんなんて言えないだろう。今の国王でもギリギリ保たれている国を、国王より愚かな第一王子が王になればもう終わりだ。貴族は気付いていないが、民の不満は溜まっている。流行病が出た時点で既にもう平民の不満は溜まりつつあるのだ。


「セシリア、来月ルクスは王都に行く。お前も一緒に行きなさい」

「え!?」


 セシリア・シェラード、十二歳。一年早く王都に行くことになりました。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ