プロローグ
初投稿です。ゆるゆると書いております。
あぁ、もう何もかも疲れた。復讐を終えようと、国が繁栄しようと、私には何ひとつ意味がない。大切な人達はもう、いないのだから。
あぁ、また朝が来てしまった。ベッドから見える何ひとつ変わりない見覚えのある天井……。この天井はなんだ? 私の寝室ではない。ではここは……!?
「セシリア!」
耳に良く馴染む、聞き慣れた、けれど久方ぶりに聞く声。暖かく優しい、凛とした透き通った声。私が一生を賭けてでも護りたかった、もう一度と強く望んだその声。
「おにい、さま…………」
「あぁ、良かった。神よ、ありがとう……ありがとうございます……。」
目の前にいたのは、私の手を握り、涙を流しながら神に感謝する、兄の姿だった。私が一番会いたいと望んだ人。この国も、この世界すら引き換えにしても良いと思えた程大切な兄。
兄が私の手を握る感触が、本物だと告げている。夢ではなく、幻でもなく、紛れもなく本物の兄であると。
(あぁ、神よ。もう一度、兄に会わせて頂けた事に、最大の感謝を。)
私は最早忘れてしまったと思っていた涙を、静かに流していた。
ゆるゆる書きながら、とりあえず書き溜めたところまでは毎日投稿の予定です。明日1話投稿します。