豊庫
窓を開けば
まだ夜の街
いつの間にか寝ていた
それも真夜中に目が覚めた
体がおはようと告げている
どうやらもう起きないといけないらしい
見慣れた街が知らない様相で
目線が合う
黒い景色の中で
やるべきことは残っていた
机には投げ出された
書類の山
都合よく忘れていたつもりが
手首をがっつり掴まれた
とても冴えそうになかった
だから私は
散らばっていた選択肢を
ありったけ
ポケット詰め込んで
窓から下りた
顔を上げて
黒い瞳が混じる夜空を
光が生まれたときを思い浮かべながら
見開いた
その時ふと思い返した
無感動のふりも出来ないまま
覚えてしまった類のものは
価値に囲まれていた
値が張る
どれもよく識っている
ちょっと前まで触れていたものまで