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「……もりのなかふぇすてぃばる?」
蒼ちゃんは太陽の狼狽をガン無視して、渡された資料のデカデカと主張するタイトルを舌足らずな声で読み上げる。
そういえば歳はいくつなんだろう。
「正直、駆け出し……てもないアイドルで取れる案件はこれだけです」
「おー、お仕事じゃん」
プロデューサーが悔しそうに漏らす。京愛はそれでも感心した様子を見せる。
「ん、待って。京愛っていつからアイドルやってるんですか」
「お主の前日」
「前日」
ほぼ私と同じなのにわかったような顔をしてたのかこの子は。
なんて子だよ。
「でも太陽はアイドルとしてデビューするんだよね?」
「ええ、だから太陽さん以外。つまり蒼さん、京愛さん、そして貴女でやってもらいます」
「………?」
ちょっと何言ってるか分からなくて京愛の方を向くけど、京愛も理解できなかったみたいだ。
キョトンとしていると、蒼ちゃんがジタバタし始めて地面に下ろす。
「いっしょ」
「いっしょ」
「いっしょ」
蒼ちゃんが私と京愛の手を握ってそう言った。
私も京愛もオウム返し。
「「……マジか」」