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「はい、聞いてください」
プロデューサーがパンパンと手を叩いてホワイトボードの前に立つ。
事務員の斉藤さんが私達に資料を手渡ししていく。
私は蒼ちゃんを抱っこしているからどうしようかとオロオロしていると、蒼ちゃんが私の分も受け取った。
小声で「ありがとう」と言うと、蒼ちゃんは顔を覗き込むようにして近付いたと思ったら頬にキスをした。
滅茶苦茶に動揺してしまいあと僅かで蒼ちゃんを振り落としてしまうところだった。
「あ、ああ……あーーーー!!!」
そして、この一部始終を見ていた太陽が悲鳴にも近い叫びを上げた。