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部屋は入口がちょうど真ん中に来るようになっていて、奥側半分に辛うじて名乗れる様なプライベートスペースがある。
備え付けのシングルベッドと天井まで届く本棚、それと勉強机で自分のテリトリーは終了みたいです。
手前側半分、右側はトイレ。左側はシャワーと洗面所が兼用になっている。
寮には大浴場もあるけど、今の私みたいに使用時間に使えない子の為に部屋にシャワー室が備え付けられているらしい。
そして荷解きしていない私の少ない数のダンボール。
夜も遅いし今からやる気は無い。
翡翠の領土に侵食してしまっているけど、暫くは我慢してもらうと思う。
私はシャワー浴びる為には、荷解きして下着やらなんやらを用意しないと行けない事に考えつき、もういいやとなってベットにダイブした。
「待て待て待て、そのまま寝る気か」
「もう、無理なんですけど……」
「……勝手に開けるぞ」
「何を?」
「ダンボールだよ。下着とタオルとパジャマさえ、あれば良いだろ?」
「悪いし、いいよ……」
「良かねーよ」
「え、臭い?」
「それが無臭なんだよな。なら、良いじゃないからね」
そうごちゃごちゃと喋りながら、翡翠はダンボールをひっくり返しまくり、1式揃えて、無理やり起こされてシャワー室に押し込まれてしまった。