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ドキリとした。
その冷めた目を向けられるのは怖かった。
なんで?
そう言いたかったのに、声後かすれて声にならない。
そうだとも。
煌びやかな世界なんて憧れもしない。嫌いだ。
そのせいで家族は散ったと言っても過言では無いから。
そう言った封をしていた記憶や、かすれかけていた思いが再び溢れてきてしまう。
行けない。そう思っても、無くなった訳では無いものだから。
京愛はふにゃりと表情を緩める。
「分かるって言いたかったんだ。その気分とか気持ちは私はずっと付きまとって鬱陶しく感じた。けどな、そうやって生きていくと決めたんだろ!?」
「なら、その気持ちも抱いて活力にしないと。俺にも事情はある。アンタにもある。太陽だって。それでも生きていくんだから」