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プロデューサーが何を言ってるのか分からない。
何も無いし、何も分からないこそ指標を立ててるのに。
プロデューサーは私に上手く伝わっていなかったことを察してか、少し悩み話始める。
「そうですね……」
ミラー越しのプロデューサーは顎に手を当ててブツブツと独り言を話してる。
その目付きがあの、審査員達と同じで少し怖い。
「まずは、振り返りをしましょうか。今回は私のリサーチ不足もあります。かなり不利な戦いでしたから他の子に負けるのは仕方ないと分かっています」
戦い。
まあ、そうだよね。遊びじゃない。
それはそうとして、お前にはまだ無理だと突きつけられてるようで少し辛いな。
そうなんだけどさ。
落ち込むよね。……落ち込む?
「夢さん?」
ボーッとしていた。
「ええっと、そうだな。私は3番目だったんだ」
オーディション会場は会議室で行われた。
新人発掘(仮)
そこで初めて何のオーディションか知ったんだけど。
オーディションに受けにいていた子は4人。
私と太陽。その他2人。
太陽以外はガッチガチだった。
トップバッターは黒髪ロングの子で、まあ、普通。
2番目に私だった。緊張も凄くて上ずってたし、とてもまともな挨拶は出来なかった。
今日「挨拶は大事」と散々言われたのに。分かっていても出来なかった。
太陽はオーディションを受けに来ている子を含めて全員の視線を奪っていった。当たり前だ。
棒立ち挨拶しかしてなかった前3人とは違って全身を使った動きを交えての挨拶。
それだけで部類にかける必要もなかったに違いない。