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私の人生初のオーディションとやらはいつの間にか終わっていた。
「どうでした……いい経験が出来ましたね」
「まだ何も言ってないんだけど!?」
車に無言で乗り込むとプロデューサーが心配そうに声をかけてくれるのはいいんだけど、失敗を断言されるとそれはそれで嫌だ。
「あれ、太陽さんは」
「残ってくれって。多分お仕事取ってくるんでしょ。凄いね」
「貴女も凄くなってもらはねば」
「無理だよ」
「太陽さんに憧れは感じますか?」
「そりゃ……ね」
「なら、辞めてください」
「は?」
「憧れなんてしないでください。貴女は彼女と同じく『プロのアイドル』なんですから」