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「がんばれー」
舌足らずな声が重い教室の空気を変えた。
さっき少し話しただけ。
日鳴さんは両手を口に当ててわざとらしく声援を飛ばしてくれる。
それに釣られるように、
「頑張れ」
氷翠が顎ひじ着きながら一言。
決して大きな声では無いのにスーッと教室中を抜ける低い声。
「あらあら、もうファンが居たんですね!」
それならもう大丈夫だろうと先生は殊更急かしてくる。
「よし行くよ!」
「な、何をどうするの!?」
「ライブ感で行こう」
「それ結局ノープラン!」
クスクスと笑う声が増えて空気が弛緩する。
ゆるーく、暖かい空気感だ。
「MCもバッチリですね!」
やかましい!心の中でさけぶ。