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太陽は話を聞いてくれなさそうみたいな言い方だったけど、そうでも無さそうかも?
「……やっぱり変かな」
シュンとして目に見てて落ち込んだ。
キャピキャピしてた声は無く、素の声はかなりハスキーで、この声が好きな人は出てくるだろうなとおもった。
大型犬が落ち込んでいるように見えて、こう、庇護欲が……。
「変。自分からそのキャラを?」
「違うんだ。その、私は中等部からここに居たんだけど、芽が出なくて、プロデューサー科の人達と合同授業の時にこのキャラ付けでって」
「ほう、ソイツは才能ないからブチのめそう」
ピキピキと怒りの感情が湧いてくる。
氷翠の事なんて考えてあげる義理は全くないけれど、こう才能を潰されてる様を目の前で見るのは耐えられない。
まるで、姉の最初を見ているみたいで、耐えられない。
「ゆーめ!なにやら物騒な事を言ってるじゃないか」
太陽が暇を持て余した様で、私の机に腰をかけるなり、笑顔を見せる。
私にじゃなくて、氷翠に。
な、なんか不機嫌だな?
「……朝日奈太陽?」
氷翠が今更のことに、太陽と見つめあってようやく気付いたらしい。
そして、飛び上がって驚いた。
「え、そんなに?」
そして私はまたも失言をしたらしい。
太陽をチラチラ見て、盗み聞きしていたらしい、教室にいたクラスメイト達が一斉に私を見る。
その顔は全員が「コイツマジか」と言っている。