25/120
24
舐めていた。内心ちょっと恥ずかしいな。そんなふうに思っていたものも一瞬で吹き飛んだ。
リテイクを出す度に空気が重くなっていく。
しかも急に出演が決まった私のミスだとそれが尚更だ。
当日に演出を覚えて振り付けをしなければならず、生きた心地はしなかった。
ファンシーでポップな楽曲で、世界観もピンクが多いのに、笑顔を貼り付けないと行けなくて、私にはそれが難しくて、足が震える。
「大丈夫?」
「無理」
「夢ちゃんは頑張ってる」
「舐めてたんだよ。馬鹿にしてたんだよ。なんなの、なんでこんなに真剣やるの?」
「……好きだから。好きになって欲しいから」
「夢ちゃんは今、全てが嫌に思えるんだよね。何かもが嫌いかもしれない。だから、尚更だよ」
「まず、私というアイドルを好きにさせてみせる。そしたら、好きになる大切さを分かるし、その為に頑張れるはずだから」