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つんのめりそうな足元を見ていたら、太陽は立ち止まった。
私の頬を両側を手のひらでむぎゅっと掴んで無理やりに目を合わせてくる。
強引な、そう思うも、その勢いは人を引き寄せて魅了するのかもしれない。
この子は天性のアイドルなのかも。
手を引かれ駆け出した街は、見た事あるけれど、目にしたことは無かった景色。
デパートばっかりで、空が見えない。
都会のジャングルとはよく言ったものだ。
「人集り」
イベントがやっているのか、デパートの入口は混みあっている。
小気味いいリズムの音楽が耳に届く。
「あ、月……」
「知り合いなの?」
太陽は驚いたように口に手を当てて明らかに狼狽をしていた。
「妹」
「え、あ、ちょっと!?」
それだけ言って私の手を引いてズンズンと歩いていく
ち、力強いな!
去り際、振り返ると、その月と目が合った気がした。
ダウナーな雰囲気はなるほど、月と太陽さながらだ。