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「と、言う訳です」
私自身が詳しく分かってる訳では無いけど、現状を伝えると、まぁ、暗い顔をされた。
私がその顔をしたい。
「ん、飴あげるな」
蒼ちゃんがおずおずと飴を差し出してくる。ありがたく貰って口に含む。
厄介者みたいな扱いから同情しなければならない人にジョブチェンジしたようだ。
嬉しくないよ。
だけど、口に含んだ飴のいちごの安っぽい味は心を溶かすようだ。
これまで、何も喉を通ってなかったから余計に美味しく思えた。
「よ、よおうし!!夢ちゃん!お外行こう!」
「ダメですって!太陽さんはこれから……仕事……」
「光の速さだったな!」
「はぁ、詫びの電話をかけてきます。……30分くらいなら行けるか?」
「プロディーサーさん、私が電話をしておくので行ってきてください」
「すいません、助かります。黒瀬さん」