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「夢さんは今後養成所を兼ねた学校へ寮生活をしてもらいます」
プロデューサーが淡々と報告するように言う。
感情を感じにくい。
「おぉ!生活の保証!」
しかし、そんなことはどうでもいい。蜘蛛の糸が縄へ変化した様に思えた。
今後数年後とかじゃなくて数日後の不安が1個解消された。
プロデューサーから後光が指している気がする。
とりあえず拝んでおいた。
「そのセリフにとんでもない闇を感じる……」
私を見ながらそして、引き気味に金髪ギャルこと、京愛が哀れみの目を見せる。
これだから恵まれた身は……って、つい先日まで私も甘えた暮らしをしていたと思うと諦めの気持ちの方がある。文句を言うつもりもないが、彼女に対し高い壁が出来た。
無言で京愛を見ると、バツが悪そうにそそくさと端っこの方へ行ってしまった。
「ああ、荷物はそこです。話はここでは出来ませんので、もう少し落ち着いたらカフェでしましょう」
「えーー!ずーるーいー!」
「ずるくありません」
なにか察したプロデューサーが場所を変えようと提案をすると、それを太陽がずるいとごねる。
プロデューサーは諭すようにに言ったが埒が明かない。
決して自分が悪い訳じゃないのに、それがキッカケで人が争うと、気が沈む。
何も言えずにやり取りを見ているだけだけど、余所者感が強くなる。
ドキドキとして、嫌な汗が出る。
呼吸が少し浅くなる。
「ねぇ、P君。今いる子達だけでも顔合わせ、しちゃおう」
「ええ、そうですね。事務所に所属してるアイドルはもう少し居ますが、今いる3人を紹介しておきましょう」