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「貴女、本気なの?」
キッと気の強さが現れたつり目の彼女、林道涼花が距離を詰めながら怒ったように言ってくる。
接点ないのに!
いきなりの事だし、こっちは林道涼花をよく知らないのに、そのよく知らない林道涼花に喧嘩腰でこられてしまったら普通に怖いし、たじろいでしまう。
京愛が私をグイッと自分の後ろに隠しながらコチラもどこかヤンキーが憑依したようにガンを飛ばす。
「なんだテメェ!随分なご挨拶だな!」
京愛は京愛で今にも手が出そうな感じだったし、あまりにも大きな声に周りがギョッとしてスタッフが駆け寄ってくる。
「なんでこうなるなかなあ……」
「どーする?」
「どーしよ」
今から起こるであろう未来を予感しつつ呟くと、蒼ちゃんの気の抜けた相槌が帰ってくる。
私も気の抜けた言葉しか出てこないよ。