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ステージ上の子が細かくチェックをしている時にプロデューサーが京愛の隣に座る。
「驚いた。彼女はもうこのステージなんか超えているのに。……覚えておいた方がいいですよ」
「あの子?」
プロデューサーは目をそらさずにステージのあの子の事について話始める。
その横顔は羨望が混ざっているように思えた。
或いは憧れ。
……私達はプロデューサーにちゃんと期待させてあげられているだろうか。そんな事を思ってしまう。
「彼女は、林道涼花。歌唱力に定評のあるアイドルです」
「涼花、知ってる」
蒼ちゃんが珍しくプロデューサーに反応した。
そして、蒼ちゃんは強大な敵を前にしているようだった。