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リハーサルを終えて、何度も反芻する。
それでも緊張は消えないし、不安も募るばかり。
そんな私に京愛が、「ほかのグループのリハも見ようぜ」と誘う。
何かをしてないと押し潰されそうになっていた私は頷いた。
「ハハ、緊張で言葉も出なくなったか?」
京愛の軽口は健在なのに、私はなにも言えずまるで体の動かし方すら忘れたように動けない。
流石に京愛も心配に入ったようだ。
「大丈夫かよ。深呼吸しろ」
目を見て命令口調で言われた。けど、それは素直に行動に移すことが出来た。
言われた通りに深呼吸をする。
段々と身体に熱が戻ったように、ほぐれた様に、平常心が戻ってくる。
蒼ちゃんが手を握っていた事にようやく気付く。
(ヤバいヤバいヤバいヤバい。緊張しすぎでしょ)