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冥界と娑婆の間
在るだけの自分に、どうやらこうしたうぶい感情が追ってきていることに、
僕は自分が在る場所に確かに見える形で存在していることを次第に自覚してきた。
そのことを不安だとか、
幸せだとか言う前に、
僕は気の遠くなる前後を感情抜きに眺めていた。
ここはぬめぬめした暗い宇海の中だ。
そして僕はどこかから何物かによって呼び興された。
順序なんてわからない。
たぶん僕が選んだわけじゃない。
でもこの感覚は初めてじゃない。
何度目かはわからない。
でも嫌な気はしていない。
そんな宇海の中に僕は形として在る。
そうなんだ、僕は冥界と娑婆の間に生(行)き就いたのだ。