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これが八万六千七百三十二回目


 気付けば懐しい宇海(うみ)のなかにまたいた。


 僕は人間として生きていけることをちょっぴり億劫ながらも嬉しく思った。


 これが八万六千七百三十二回目だと数えた時点で、


 人間の切なさをまた覚えるのだった。


 数えることを覚悟したなら、過去をも思い出せる。


 三つ前の命は(はかな)い時日だった。


 僕は二十四回目のミヤマクワガタの雄に生まれ落ちた。


(その呼び名は人間の勝手につけたものでクワガタ仲間ではンィッツで通っていた)


 幸い、二十四回目は人間にも鳥にも捕まることもなく穏やかにどこかの島の深い山中で過ごした。


 けれど過ごした日は土の中で生育した時も合わせても人間で数える三百四十一日間で、


 成虫になってからは大好きな季節を二度は味わえなかった。


 (もっと)もこれはその前の二十三回も似たようなものだったが。

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