三途5・次の日の同時刻
俺が朝起きると、携帯が鳴っていた。午前10時。あいつらから連絡のメールが届いている。
『ご依頼の件、解決致しました。正午ごろにお待ちしています』
だと。
俺は背中が痛い事に気が付く。一晩ソファで寝てりゃ、そりゃあ背中も痛くなる。クソ。
それにしても、全く早いもんだね。ほぼ一日で、か。ふざけたもんだ。
一時は焦れったく思っていたが、それも大丈夫か。連絡も来たことだし、なんとかなっている様子だな。
俺は一安心する。
俺が子供の頃、こんな事になると想像できただろうか?いや、できなかっただろうな。そういえば、俺の昔の夢は建築士だっけ。なんでこんな道に進んだのか。
朝食にトーストと卵を食べつつ、俺は新聞を読む。正午にはまだ時間がある。のんびりして行こう。
俺はPCの電源を付け、ネットサーフィンを始める。ふと、世の中に出て、まともに働いている人々の姿が目に浮かぶ。
俺は駄目だなぁ。
俺は本当に駄目な――いや、むしろ申し訳ない、と言うべきか。
まるで宝くじ。
俺は当選人。
周囲の、嫉妬を含んだ羨望の視線。
お前らにもチャンスは平等じゃないか。次はお前らの番だろう?
俺は、運が良かっただけ。
俺の変な正義感、嫌いだ。ああ、ギクシャクするだけなのに。
それも時間が経てば、皆俺と同じになるんだから、それまでの辛抱。
それまでもてば、の話だが。
俺らには、多分、二廻目は来ない。終わればどうなるのか。
それは、俺は知らない。その幻は壊れるのか。
それは、俺の興味をそそる。
でも、俺の目的は、宝くじの当たり券じゃない。
一人の尊敬する人のため。
俺はもそもそとトーストを腹の中に収めると、時計を見る。まだ時間がある。俺はシャワー室に行き、軽くシャワーを浴びる。気持ち良い。
気分がさっぱりし、外出用の服を着る。もうじき出発時刻。
家を出て、電車に乗り、歩き、ドアの前。
時計を見る。12時ちょうど。
俺はドアをノックし、ドアを開ける。
これがあいつらに会う最後になる訳か。たった二日。
俺は考える。
そいつは、疑問の余地もなく、どうしようもなく名探偵。
その上に、変人で、
そして、信じられない事に――
短いっ!そして遅いっ!くそっ、ニートの癖に……