第九十五話 雪の母
「お母さんおはよう!」雪と公平は食卓テーブルについた。
「雪、もう走って学校へ行くのはやめたの?」
「あーうん。試合も終わったしね。」
「そう。ごめんね応援行けなくて。まさか優勝するなんてね」
「でしょ?自分でも驚いたわよ。」
「まあ、母としては格闘技よりももっとお上品な習い事を極めてほしい
ものだわね。」
「あははー。」
「あ、ねえ雪。」母親は朝食を用意しながら言った。
「何?」
「あなたに今度合わせたい人がいるんだけど・・・」母親は少し恥ずかし気だった。
「全部食べていいからっ」雪は公平に言った。
「え?何?雪」
「あ、ううん。何でもない。」
そう母親に答える雪の横で公平は美味しそうにご飯と焼き鮭を食べていた。
「合わせたい人?それって・・・もしかして・・・」
「ええ。お母さん今、付き合ってくれないかって言ってくれてる人がいるのよ。」
「うそ?!」
「すごくいい人なんだけどね・・・やっぱりそう言うのは雪に
聞いてからじゃないと・・・」
「どうして?いいじゃない。」
「え・・・ホントに?」
「いいわよ!私も子供じゃないんだし、お父さんが死んでからもう5年も経つのよ。
お母さん今年48じゃない、最後のチャンスなんじゃないの?」
「雪・・・」
「私の事は気にしないでいいから、お母さんは好きなようにすればいいわよ。
私だっていつかは結婚とかしたいし・・・お母さんが幸せでいてくれてる方が私も
安心だし。」
「そう?そうよね!じゃあ今度の週末空けておいてね!」
「うん。分かった!」雪は大量の醤油をかけた焼き鮭を御飯にのせてかき込んだ。
「雪…そんなに醤油かけて…動揺してるんじゃ?」
「あ~違う違うスポーツしてると味覚がね」
やば、お母さん変な顔してる…
「最近味の濃いのにハマってて…あはは」
「そうなの?あんまり身体に良くないわよ」
「確かにそうね…気をつける。ごちそうさま。週末楽しみにしてるね」
「ええ、ありがとうね。雪。」




