第九十一話 本屋
次の日――――
雪と公平はいつも通り学校の帰りに道場へ行き、電車に乗ろうと駅に向かった。
「あ・・・待って・・・真野!」
「どうしたの?」
「ちょっと、参考書見たいんだけど、本屋・・・寄ってもいい?」
「うん」
「えーーと・・・」雪は英語の参考書を探していた。
「英語の先生が参考書を買うの?」
「ええ。結構授業に役に立つのよ。分かりやすく説明してあるのとかあるし・・・」
「ふーーん」
「あ、あった。じゃあ行きましょ。」
「うん」公平は雪の前を歩いてレジの方へ向かった。
ふと雪は並んである一冊の本を見つけて立ち止まった。
『生霊とは』・・・?
その隣に並んでいる本にも目を向けた。
『私が生霊だったとき』・・・?
『生霊が元の人間の身体に戻る方法』・・・?
雪は最後に目に入った本を手に取った。
公平は後ろを振り返り雪の方に戻って来た。
「先生どうしたの?」
「真野・・・戻れるかもしれない・・・」
雪は残りの2冊も手に取り、レジへ向かった。
家に帰った雪は早速買った『生霊』についての本を読んでいた。
公平は熱心にそれを読んでいる雪をそばで見ていた。
「ねえ!先生!」
「・・・・・・」
「先生、暇なんだけど・・・空手は?」
「・・・・・・」
「ねえ!荒井雪さんっ!」
「・・・・・・」
「もうっ!!暇!!暇!!」
「え・・・何?」
「って言うかやらなくていいの?」
「あ・・・ごめんなさい・・・何?」
「だから練習!!」
「あ・・・そうなんだけど・・・ね・・・あなたも読んでみてよ!」
「えーやだよ!本なんて読んだことないしそういうの嫌いだもん。」
「だけどもしかしたら本当に、ここに元に戻る方法が書いてあるかも
しれないのよ。」
「でもあの霊園の人言ってたじゃん。焦らなくてもいいって・・・」
「ええ・・・でも・・・」雪はまた読み続けた。
「ねえ!もう!先生!ひーまー!!」公平は雪の耳元で怒鳴った。
「あーもう分かったわよ!何?空手?やればいいんでしょ?!やれば!!で・・・?
今日は何するの?」雪は本を閉じた。
「今日は、拳立てと、スクワットと、腹筋100回ずつと・・・それから・・・」
「え?!そんなにやるの?!」
「当り前じゃん!走んないんだから。」
「分かったわよ、真野先生。ではよろしくお願いします!」
「はいっ!」公平は笑顔で答えた。




