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荒井雪   作者: うきみ
89/102

第八十九話 ミット稽古

雪と公平は家に帰って来た。

「先生!今日は道場に行けなかったから、ここで練習しようよ!」

「ここで?どうやって?ミットはあるけどあなたは持てないし・・・」

「ミットじゃない。」

「何?」

「拳立て100回っ!」公平が雪のベッドに座りながら言った。


拳立てとは拳を握った状態で腕立て伏せをすることだった。

「えーー!!嘘でしょっ?!」

「早くっ!試合、勝ちたくないの?」

「勝ちたいわよっ!勝ちたいけど・・・」

「だったら練習っ!」


あなたは黒で男だからそんなの余裕かも分からないけど、私は一応女なのよ・・・


「わ、分かったわよ。もう・・・道場でも拳立てなんて20回くらいしか

 やらないわよ」


あーこれって必要・・・?!変に筋肉が付きそうね・・・

空手なんて女のやることじゃない・・・


「文句言ってないで始めて!はい用意!」

「はいはい・・・」雪は仕方なく拳立ての体制になった。

「行くよ!いちっ!にい!」公平は座ったまま号令をかけた。

      ・

      ・

      ・

      ・

      ・

      ・

      ・

      ・


「九十九!百!」


「あーーー死ぬ・・・・明日は腕がパンパンよ、きっと・・・」

雪はそのままうつ伏せ状態になった。

「おつかれ!先生!」

「これでまた明日の朝も走って行くんでしょ?」

「当り前じゃん!」

「もうっ!鬼!」

「仕方ないでしょ!勝つためなんだから!」


あー・・・試合なんて出るって言うんじゃなかった・・・


「はいはい、分かりました。真野先生!・・・はあーっ・・・」

雪は若干後悔の溜息をついた。



次の日―――


「押忍!」雪と公平は道場にいた。


「では今日の稽古は終わります。あと自主練をしたい人は残って下さい。」


「先生!今日はミットだよミット!」

道場の隅で体育座りをしている公平が雪に言った。

「ええ。分かってるけど・・・誰に持ってもらおうかしら・・・」

「ああ・・・師範代に持ってもらえば!僕はちょっと嫌だけど・・・その方が

 ちゃんと指導もしてもらえるし・・・」

「そうね・・・」

「すみません!師範代!ミット持って頂いてよろしいですか?」雪は師範代に頼んだ。

「あ、いいですよ!荒井さん!」

「先生・・・あんまり師範代にくっつかないでね・・・」公平は雪の傍まで

近づいて言い、また道場の隅に座った。

雪は公平を見て笑った。


「では、何を練習しますか?」師範代が言った。

「あ、突きを。」

「分かりました。」

「あ、先生!試合は2分でしょ。タイム計って時間の感覚を覚えるんだよ!」

公平が雪に向かって叫んだ。

「え・・・ええ分かった。」

「は?何ですか?荒井さん」

「あ・・・いえ・・・ちょっと時間を計ろうかと・・・」

「あ、そうですね」

「じゃあお願いします!」

「では右から行きましょう!」

「押忍!」




「師範代、ありがとうございました!」

「はい!この調子で頑張れば優勝できるかもしれませんよ!試合の相手は全員

 茶帯ですから。」

「そうなんですか?」

「ええ!明日も頑張りましょう!」

「押忍」



雪は洋服に着替え公平と道場を出た。

「あーーなんか・・・勝てるような気がしてきたっ!」

公平は雪の笑顔を覗き込んだ。

「でも先生・・・僕が元に戻るまで、もう試合には出ないで」

「どうして?」

「空手は僕が教えるから」

「え・・・?」

「だって!もうやだよ!さっきみたいなのずっと見るの・・・」


あはっ・・・なんかこいつ・・・可愛い・・・いじめてやろ・・・


「何であなたにそんなこと言われなきゃならないの?!」


「だってさ!・・・そんなの・・・先生の事が好きだからに決まってるじゃん!」


もう・・・なんてストレートなの・・・いじめがいがない・・・

気持ちがいいくらい・・・


「わかった!?先生!」


「わ・・・分かったわよ・・・」


あーーー・・・分かったって言っちゃったよ・・・


二人は並んで歩いた。

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