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荒井雪   作者: うきみ
86/102

第八十六話 試合形式

「押忍!」


雪は大声で道場の前で叫んだ。

「道着姿の先生も僕、好きだよ!」

公平は雪の後ろから言った。

「うるさいっ!」

雪は公平に振り返った。


「荒井さん?どうかされました?」空手の師範代が雪に声をかけた。

「あ、いえ・・・別に・・・気合い・・・入れてただけです。試合が近いので

 今日から詰めて通おうかと思っています。」

「そうですか!では頑張りましょうね!」

「押忍!」




「今日は試合形式で組手の練習を行いたいと思います!」師範代が言った。


「では黒帯!高坂 波!」


「押忍!」


「茶帯!荒井 雪!」


「押忍!」


二人は道場の真ん中で向かい合った。


「正面に礼!」


「押忍!」


「主審に礼!」


「押忍!」


「お互いに礼!」


「押忍!」


「構えて!」


「始め!」


よし・・・いくわよ



雪は自分の方から攻撃を仕掛けた。しかしそれは黒帯の波に全てかわされた。


あ・・・もうだめ・・・体力が・・・限界・・・


雪の動きはどんどんとスピードを落としていった。


その時だった。



ピシッ!!



波の上段回し蹴りが雪の頭を打った。



ピー!!



指導員の笛が鳴り響いた。


「やめ!」


「上段回し蹴り!技あり!」



それは黒帯、高校生である高坂波の圧勝だった。





稽古が終わり雪は洋服に着替えて道場を出た。


「先生!」

「・・・・・・」

雪は速足で歩いた。

「先生!ねえ!なんか怒ってる?」

「・・・・・・」

「先生!超ーかっこ良かったよ!」

「何が?負けたこと?」雪は足を止めて公平に言った。


もう・・・真野のばか・・・教えてくれるって言ったじゃない・・・


「先生?」

「まったく歯がたたなかったのよ・・・あれじゃ試合なんて無理・・・絶対に

 勝てっこない・・・」

そう言って雪は再び歩き出した。


「そりゃそうだよ!」


公平は後ろから叫んだ。


「え?」雪が振り返った。


「先生、体力なさすぎ。前半はよかったけど後半まで、もたなかったし」

「確かにそうね・・・」

「先生!今から走るよ!」

「え?」

「僕が荷物持ってあげるから!」


「でも・・・あなたは持てない・・・」


公平は雪のバッグを持ち走り出した。



え・・・?軽くなった・・・?




そして―――――――




二人は走った。



「はあっ・・・はあっ・・・」

「大丈夫?先生。」

「ええ・・・はあっ・・・はあっ、ようやく家に着いたわね・・・

 はあっ・・・はあっ・・・」

雪は家の前で息を切らせながら膝に手をあてて言った。

「明日から毎日学校まで走って行くよ!」

「えー!!はあっ・・・嘘でしょ?!はあっ・・・」

「嘘じゃないよ!先生!勝ちたくないの?」

「そりゃあ・・・はあっ・・・やるからには・・・はあっ・・・勝ちたいわよ。」

「じゃあ明日から朝早く起きなきゃだね!」

「ええ。わかった。はあっ・・・でもなんで今日道場では何も教えてくれなかったの?

 昨日は教えてくれるって言ってたのに・・・」

「え?僕そんなこと言った?」

「言ったわよ!」

「あ・・・ごめん。でもいきなりは無理だよ!先生の闘い方を見ないと。」

「あ、そっか。」

「でも先生・・・さっきの相手は黒帯だからいくら沢山攻撃してもあんなのだめだよ!

 体力がなくなるだけ。」

「じゃあどうすればいいの?」

「なんで?先生みぞおち得意じゃん!」

「みぞおち?」

「うん!一撃必殺だよ!もっと威力のある突きで相手に打撃を与えるんだよ!」

「そっか・・・なるほどね・・・」

「明日からミット打ちだね!」

「はいっ!よろしくお願いしますね!真野先生ーっ!」

「了解しましたー!荒井君!」


二人は雪の家へと入って行った。

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