第七十七話 超能力
「先生!逃げて!」
「うん!」
公平と雪は児島の部屋を出て急いでエレベータへと向かった。
「あ・・・だめ!エレベータが・・・」
「先生!階段!!」
そして慌てて階段を走って降りた。
下まで降りて、二人は駅の方へと走って逃げた。
「はあっ、はあっ、はあっ・・・」雪はもう走るのが限界だった。
「待って・・・真野・・・もう無理・・・これ以上走れないわよ・・・」
雪はその場で足を止め、両膝に手をついていた。
「先生・・・」公平は雪の方を振り返った。
「いくらなんでも・・・はあっ・・・こんな外で・・・はあっ・・・
しかも教師よ・・・はあっ・・・誰が見てるか分からないのに・・・
ここまで追っては来ないわよ・・・はあっ・・・はあっ・・・」
息を切らしながら雪は公平に言った。
「そうだね・・・」公平はその場に座り込んだ。
「はあっ・・・はあっ・・・」
「大丈夫?先生・・・」
「ええ。大丈夫。でも・・・あんな人だったなんて・・・」
「僕も驚いた。」
「とてもじゃないけど、信じられない。」
「先生・・・明日からどうすんの?嫌でも学校で会うよ。」
「ええ。訴えてやろうかしら。」
「だめだよ!証拠がないし。それにまた変な事されたりしたら僕・・・お願いだから
あの人には関わらないようにしてよ!」
「真野・・・」
雪は必死で訴える公平の目を見ていた。
「わかったわよ。それにしても・・・さっきのって・・・何なの?」
「うん。僕にもよくわかんないけど・・・もしかしたら・・・
超能力的な力があるのかな。前にもあったし・・・」
「前?」
「うん。前、電車に乗ってて突然急停車したことがあったでしょ?覚えてない?」
「ええ、覚えてる。」
「その時に、網棚の上にあった金属のバッグが小さな女の子に当たりそうになって、
僕、止まれ!って思ったら・・・そのバッグ急に方向を変えて落下したんだよね。
まあその時は偶然かなって思ってたんだけど・・・」
「そうだったの・・・」
「でもきっと強く念じないと物が動いたりしないと思う。」
「そう・・・まあ・・・そう簡単に物が飛び交っても怖いわよね。」
「・・・・・・」公平は雪を見た。
「ぷっはははは!!」公平は笑い出した。
「何?私何か変な事言った?」
「だって!こんな時に・・・そんな冗談言わなくても・・・」
「え・・・?冗談言ったつもりないんだけど・・・あは・・・そうよね・・・
おかしいか・・・ははは」
二人はしばらく笑っていた。
通りを歩く人が雪を見て変な顔をしていた。




