第七十三話 公平の心配事
二人は映画館へと入って行った。
座席に座った輝が言った。
「なあ亜紀・・・」
「何?」
「お前本当にまだ公平の事好きなの?」
「え?」
「あいつの事気にして俺と付き合えないだけなら、それは違うと思う。」
「輝・・・」
「あいつさ、亜紀が手首切ってから、すっごいお前の事心配しちゃってて。」
「・・・・・・」
「だけど、あいつ言ってた。俺は亜紀の事は好きにはなれないって。
だから俺が公平に言ったんだよ。だったら病院には絶対に行くなって。
俺がお前の代わりに行ってくるからって。」
「そう・・・だったの・・・それで毎日・・・」
「だからさ、俺と亜紀が付き合ってる方があいつ安心なんじゃないかな。
意識不明の重体って言っても本当は意識があったりする事もあるって言うしさ。」
「そう・・・だね。」
「今日映画終わったらさ、あいつの病院行ってみよ。」
「うん。」亜紀は小さくうなずいた。
映画を見終わった輝と亜紀は公平の入院する病院へと向かった。
ガラガラッ
そこには相変わらず眠ったままの公平がいた。
「公平・・・」亜紀はベッドのそばへ座った。
「公平・・・本当にごめんね。ずっと私の事心配してくれていたんだね・・・
でも・・・もうこれ以上公平の事・・・苦しめないよ。私・・・
輝と付き合うから・・・私ね。公平よりも輝の事が好きみたいなんだ。
だからお願い・・・目を覚まして・・・」
「亜紀・・・?今言った事・・・ほんと・・・?」
輝は驚いて言った。
「うん。ホントだよ。」
そして輝もベッドのそばに行き亜紀と肩を組んだ。
「おい!公平!似合ってると思わね?!俺と亜紀。こいつ、やっと好きになって
くれたんだよ!」
「輝・・・」亜紀は輝を見つめた。
輝は眠る公平の前で、そっと亜紀にキスをした。




