第六十九話 嘘の演技
≪テゥルルルー・・・テゥルルルー≫
「もしもし」
「もしもし、亜紀?」
「あ・・・輝?」
「今日暇?」
「うん。特に用事はないけど・・・」
「じゃあデートしよう!」
「え・・・?あ・・・うん。いいよ。デートって何処に?」
「何処がいい?」
「あ・・・何処でもいいけど・・・映画とか?」
「映画?いいよ。じゃあ駅で待ち合わせでいい?」
「うん。」
「じゃあ1時に駅で。」
「分かった。」
二人は駅で待ち合わせ、映画館に着いた。
「何系?笑える系?泣ける系?それともハラハラ系?」輝は亜紀に聞いた。
「ははは・・・笑える系がいいかな。」
「じゃあ・・・これにする?映画は2時からだからもうすぐだな。」
「うん。」
「じゃあ行こっか!」
「うん!」
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「あー面白かったよねー!輝。」
「ホントだよな!くそ笑えた。」
「輝・・・いつもありがとね。」
「ありがとねって俺、亜紀に感謝されるようなことしてるつもりないけど。亜紀に
会いたいから来てるだけだし。」
「あ・・・うん。」
「輝!!」
後ろから誰かの呼ぶ声が聞こえ輝は振り返った。
「え・・・?梨華 りか?!」
「久しぶり!輝!!」
梨華は輝の方に近づいてきた。輝も梨華の方へ歩いて行った。
「あ・・・輝・・・」
亜紀は思わず言った。が、人通りが多いせいか輝には聞こえていない様子だった。
梨華って・・・誰だろう・・・
亜紀は二人の様子を見ていた。少し派手な服装をした梨華と輝は楽しそうに笑い
時折亜紀の方を見ていた。そして梨華は輝に何か耳打ちをしている様子だった。
なんか・・・あの二人・・・仲良さそう・・・
そして二人は手を振って別れた。輝は亜紀の方に駆け寄って来た。
「ごめん亜紀!」
「あ、ううん。誰なの?」
「ああ。・・・中学ん時の元カノ。」
亜紀は驚いた。
「あ・・・そうなんだ・・・可愛い人だね。そうよね・・・輝やさしいから・・・
モテるよね・・・」
「え?いや・・・そんなこと無いよ・・・」
亜紀はしばらく黙ったままだった。
「じゃあ、帰ろっか。」輝は言った。
「あ、そうだね。」
「亜紀ん家まで送って行くよ。」
「いいの?」
「ああ。」
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「着いちゃったな。」
「うん。送ってくれてありがと。」
「じゃまた月曜!」
「うん。じゃあまたね!」
亜紀は家に入り、さっき見た女の子を思い出していた。
梨華って子・・・もう輝とは関係ないんだよね・・・何だろう・・・私は公平の事が
好きなはずなのに・・・なんだかちょっと気になるな・・・
輝は自分の家へと向かい、坂道を降りていた。
≪テゥルルルー テゥルルルー≫
輝の携帯が鳴った。
「もしもし」
「あ、輝?」
「梨華?」それはさっき映画館の前で会った輝の元カノからの電話だった。
「うん。ねえ、あんなんで良かった?」
「ああ!もうバッチシじゃん!」
「でも輝もそうとう病んでるんじゃないの?!あんなこと私に頼むなんてさあ。」
「え、いいじゃん!そっちは俺のこと振ったんだからこれぐらいしてくれたって。」
「えー輝こわっ!!」
「うるせえ。」
「で・・・?少しは効果ありそう?」
「うーーーん、良く分かんねえけど、あの後亜紀、ちょっと動揺してたみたいだったし、
一応成功じゃね?」
「そ?!じゃあ良かったじゃん!でもさすが秀才の考えることは違うよね!
丁度映画が終わる時間に声かけろなんてさ。」
「ああ。お前のあの耳打ちが効いたんじゃね?」
「でしょっ?!私、女優とかいけるかもだよね!」
「ああ!いけるいける!」
「ははは・・・ねえ輝・・・そんなに好きなんだ・・・あの亜紀って子の事・・・」
「ああ。お前よりな。」
「えーひどすぎじゃね?!でも驚きだねーあんな大人しいタイプの子好きになるなんて。」
「ああ。まあ最初は顔が可愛いからなんとなく好きだったんだけど、今はあいつの事・・・
なんか・・・放っておけないって言うかさ・・・守ってやりたいんだ。」
「うーーーわ!!キモッ!!」
「あ?!」
「ま、その亜紀って子に振られたらあたしが付き合ってあげるよ!」
「ははは。それはないな。俺、振られねえし。」
「うわ、まじでキモい。」
「うるせえ!ほっとけ!・・・じゃあ、ありがとな!梨華!」
「うん。どういたしまして!じゃあ頑張ってっ!」
「ああ。お前いい加減言葉使い直せよ!モテねえぞ。」
「元彼に言われる筋合いねえっての!ほんじゃ!」
「ああ。」
そして、輝は電話を切った。




