第六十八話 墓参り
雪と公平は死んだ子犬の墓地へと向かった。
「えーー!!これがそうなの?!人間より立派なんじゃない?!」
「だね!?」
沢山並ぶ墓石の前を二人は歩いた。
「こちらになります。」
「どうもありがとうございました。」雪は霊園の管理人の男にお礼を言った。
「ではごゆっくり。」
「あ、はい。」雪は男に頭を下げた。
「おい・・・わんこ・・・ごめんな。僕、お前に名前すら付けてやらなかったよな・・・」
公平は墓の前に座り涙を流した。
「この子もきっと真野にひろわれて幸せっだったはずよ。」雪が言った。
「うん・・・」
墓参りを終え二人は霊園を出ようとした。
「あ・・・今度合同供養祭が行われます。これが案内になります。」
そう言って管理人の男が案内パンフレットを2枚雪に渡した。
「え・・・2枚?」
「あ、お連れの方の分はいりませんか?」
「お連れの方?」
「あ、はい彼の分はよろしいですか?」
雪と公平は驚き顔を見合わせた。
「彼が見えるんですか?」
「見える・・・?あ・・・もしかして・・・また・・・私・・・
見えちゃいましたか・・・なんとなく、そうかな・・・とも思っていたんですがね。」
「え?」
「幽霊って事ですよね?私、霊感が強くて・・・まあ、慣れましたけどね。
でも全く悪い気は感じないので守護霊ですかね。」
「いえ・・・彼は幽霊じゃありません。」
「え・・・?」管理人は少し驚いていた。
「彼は・・・生霊です。」
「生霊・・・?」
「彼の身体は今も病院で・・・」
「意識がないとか・・・?」
「ええ。」
「前にもそういう人見た事ありますよ。」管理人は笑顔で言った。
「え・・・?」
「その人も意識不明の重体だったんですがね・・・」
「そうなんですか?!それで・・・どうなったんですか?」
慌てて尋ねる雪に管理人はにっこりと微笑んだ。
「今は、私の妻ですよ。」
「え・・・じゃあ・・・」
「ええ、きっと意識は取り戻すと思いますよ。」
「本当ですか!?」
「ええ、きっと。」
「彼はいつ自分の身体に戻るんですか?」
「分かりませんが、私も妻も自然にその時期が分かりました。
なのであまり焦らなくても大丈夫だと思いますよ。」
「そうですか・・・色々ありがとうございました。」
「いえ。」
そして雪と公平はホッとした様子で霊園を出た。




