第六十七話 何処で寝るの?
そのあと二人は黙ったままだった。
しばらくして公平はいつもの笑顔で言った。
「ねえ先生!明日の相談しょ!何時に起きる?」
「え?・・・あ・・・お墓参り・・・だったわね。」
「うん。」
雪はデスクの上のスマホを手にした。
「えっと・・・場所は・・・ここだから・・・バスに乗って・・・」
雪は地図を見ながら説明した。
公平は雪を見ていた。
「・・・から・・・4、50分もあれば余裕で着くわね。」雪が公平の方を見て言った。
「あ・・・う・・・うん。そうだね。」
「ねえ・・・真野・・・」
「ん・・・何?先生」
「で・・・見たの?」雪が公平に聞いた。
「何を?」
「だから・・・その・・・」
「あ・・・先生の裸?」
「・・・・・・」
公平はフッと笑った。
「大丈夫だよ!ゴキブリがいてそれどころじゃなかったし。」
「ホントに?」
「うん。ほんと。」
「って言うか・・・あなたゴキブリがダメなの?格闘技男のくせに。」
「そんなのやってたってゴキブリは怖いもん。」
「なにそれ、ゴキブリくらいで。」
「いいじゃんほっといてよ!」
雪が笑った。
「ところであなた・・・何処に寝るの?布団は一つしかないし、客用があるけど
二つも敷いてたら母にまた変な目で見られるし・・・」
「先生の隣でいいじゃん!昨日みたいにっ。」
「え?!」
「え・・・いいじゃん。・・・隣で寝てたってどうせ何も出来ないんだし。」
「まあ・・・そうだけど・・・それも・・・そうね。この際いっか・・・仕方ないわね。
じゃあなるべく離れて寝てよね!」
「うん。分かってるよ!あーーーちくしょー!こんな事ならあの時我慢しないで先生に
キスしとけば良かったー!!!」
「あの時・・・って?」
「ほら、僕がお腹痛いって嘘ついた時っ。」
「あ・・・あの時ね・・・
じゃなくて・・・何言ってるのよ、そんなこと!
だめに決まってるでしょ!」
「なんで?いいじゃーん。」
「良くないっ!クソガキ!」
「だって!!」
「だってじゃない!もう寝るから!」雪はそう言いながらベッドに入った。
「だって・・・先生・・・僕の事好きなんでしょ?」
「な・・・なんでそうなるのよ。」
「だってさ。さっき言ってたじゃん・・・消えないで・・・とかって・・・」
「ち・・・違うわよ!あれは・・・あなたが・・・私の生徒だから・・・」
「そうなの?」
「当り前でしょ!」
「なあんだ、がっかり。つまんないのっ!」
公平もそう言ってベッドに入った。
「もっと離れて!」
「はあい。」
雪は公平に背中を向けて目を閉じた。
「先生おやすみー!」
「ええ。おやすみなさい。」
そうよ・・・私がこんなガキ・・・好きになるわけないじゃない・・・
だけど・・・さっきは本気で思った・・・消えないでって・・・




