第六十六話 風呂場
雪は部屋のドアを閉め、1階の風呂場へと降りて行った。
閉められたドアを見ながら公平は思っていた。
・・・お風呂か・・ちょっと気になるな・・・ばれないようにコソッと
・・・
公平は階段を降り、風呂の脱衣場に入った。
へーこんな下着着てるんだあ・・・
公平は雪のブラジャーを手に持ちそれを高く上げて見た。
やばいやばいっ!これ以上はさすがにダメだよね。部屋に戻ろっ・・・
公平が脱衣場を出ようとした時、何かが動く音がした。
カサカサッ
公平は何気に音の方を見た。
「うわー!!ゴキブリーーー!!!!!」
公平は脱衣場の入口の所で動くゴキブリに驚き、思わず雪のいる風呂場のドアの方へ逃げた。
そしてそのドアを通り抜け中に入ってしまった。
「キャーーーーーーーーーーーー!!!!」
雪は突然入って来た公平を見て悲鳴をあげた。
「あ・・・ごめん先生!!」公平はすぐ風呂場を立ち去った。
「雪!どうしたの?!」台所にいた母親が慌てて風呂場にやって来た。
「うっ・・・うっ・・・何でもな・・い・・・あーーーもう!!いやーーーー!!」
雪は大声で泣いていた。
しばらくして雪が風呂からあがり二階へ上がって来た。
ガチャ
「ごめんね!先生!」
「・・・・・・」
「先生怒ってる?」
「・・・・・・」
「ねえ!ごめん!」
雪は公平を無視して、デスクで月曜の準備をしていた。
公平は溜息をつき部屋のドアを通り抜けて廊下に出た。
雪は公平をにらみつけようと公平がいた方を振り返った。
「あれ・・・?真野・・・?何処行っちゃったの?・・・真野?!」
雪は慌てて公平を探した。
「真野!!ちょっと!!」
廊下にいた公平は雪の声を聞き部屋に入って来た。
「僕はここだよ」
公平は、そう言いいながらベッドに座った。
「もう!!」
雪はデスクに置いてあった本を公平に向けて投げつけた。
「ごめんごめん!だって好きな人がお風呂に入るのってやっぱ気になっちゃうよ。ていうか、僕にはそんなの当たんないし!」
デスクの上の本を全て公平に投げた雪はそのまま背中を向けたまま黙っていた。
急に静かになったのを見て公平は雪に近づいた。
「ごめんね、もうしないから。」公平は雪の顔を覗き込んで驚いた。
「あれ・・・先生泣いてる?」
「・・・・・・・・」
「え・・・そんなに怒らせちゃった?ホントにごめん!先生。」
「また戻っちゃったのかと思った。」雪は小声で言った。
「え?」
「あなたが消えて、また意識不明の重体のままのあなたしかいなくなっちゃったのかと⋯」
「先生・・・」
「消えないでよ・・・私がいいって言うまで絶対にあなたは消えないで・・・分かった?!真野!」
「あ・・・う・・・うん・・・分かったよ・・・先生」
公平は雪の涙をぬぐおうとしたが通り抜けてしまい彼女に触れることは出来なかった。




