第六十一話 初めて見る景色
キーンコーンカーンコーン♪
げ・・・やば・・・急げ・・・
「先生いってらっしゃあい!僕は後からゆっくり行くね!」
雪はのん気に手を振る公平をにらんで職員室を出た。
「で・・・・じゃあ伊藤!ここ読んでくれる?」
「はい。」
ふと雪が教室の後ろを見ると、そこには公平が手を振って笑っていた。
が、雪は無視をして授業を続け黒板に向かい、英文を書き始めた。
そして雪は再び生徒の方を振り返った。
あれ・・・?真野はどこいった?
周りを見渡すと、公平は雪の近くの窓際にもたれて雪を見ていた。
雪は教科書を見るふりをして、公平の所へ行った。
「ちょっと・・・あんまり教室内をうろうろしないでよ・・・
気が散るじゃない!」
雪は小さな声で言った。
「参観日の時の親の見る景色ってあんなのなんだね。初めて見た。ま・・・
僕は来てもらった事はないけど。」
「・・・・・・」
「後ろにいてもつまんないし、近くで先生の顔見てる方がいいよ。」公平は
にこにこしながら言った。
「だったらそこにじっとしててよ。」
「はあい。」
「先生!何さっきからぶつぶつ言ってるんですかー?」生徒の誰かが言った。
「え・・・あ・・・は、発音の練習かな・・・えーーと」
雪は黒板へと戻り、再び英文を書こうとした時、公平はその黒板にもたれて
雪をじっと見ていた。
ボキッ!!
雪の持っていたチョークは折れた。
「あはは、先生力入れすぎじゃん!!」公平は雪を指さして笑った。
もう・・・きさまがそこにいるからだろうがっ!・・・こんなの・・・
授業に集中できるかっ!・・・あー・・・これってこれから先ずっと
続くのかしら・・・
雪は頭を抱え込んだ。
「頑張って!荒井雪さんっ!!」公平は雪のそばで言った。
「もう!!だから!!・・・・」雪は声を張り上げた。
「先生・・・どうしたんですか?」輝が言った。
クラスの生徒も皆、唖然と雪を見ていた。
「あ・・・ごめんなさい・・・ちょっと・・・イライラしてて。」
雪は公平をにらみつけてから時計を見た。
あと5分で終わりね・・・
「じゃあ次のレッスンを黙読して!今日はそれで終わりにします!」
雪はそう言って教科書を閉じた




