第五十九話 急停車
「早く学校に行かないと・・・五時間目・・・始まっちゃうわね・・・」
「先生、今日学校・・・行く事にしたの?」
「ええ。自分のわがままで生徒をほったらかしって言うのはやっぱり
いけないと思って。学校に午後から行くって言っちゃったしね。
あなたどうするの?」
「うん・・・暇だし・・・僕も行こうかな。」
「そう?これ、食べなきゃだもんね。お腹空いてるのにごめんね。唐揚げ、全部食べても良かったのに。」
「ううん。いいよ。カツカレー楽しみだし、学校でゆっくり食べるから。」
「確か・・・電子レンジもあるから。」
「うん。分かった。」
二人はまた学校まで行く電車に乗った。
少し行くと車内アナウンスが流れた。
『だだいま非常通報ボタンが押されたため急停車します。』
≪キーーーーーーーーー!≫
突然二人の乗っていた電車が急ブレーキをかけた。雪は少しバランスを崩した。
「先生大丈夫?」
「ええ。大丈夫よありがとう。」雪は周りの乗客が自分の事を見ているのに気づき、
慌ててその口を手でおさえた。
公平はふとドアの方に立っている小さな女の子を見て子供の頃、母親と
電車に乗った頃の事を思い出していた。
「大丈夫?」母親が子供を心配してしゃがみ込みそう声をかけていた。
子供の上を見ると網棚の上の四角いアタッシュケースがさっきのブレーキで少女の
頭上に落ちそうになっていた。
危ない!!
公平がそう思った瞬間、それは少女の方へ落ちて行った。
止まれ!!!
公平は思わずそう願った。
その瞬間、アタッシュケースは一瞬止まり少女を避けて下に落ちた。
え・・・?
公平は驚いた。
バーーーーーン!!
重いアタッシュケースだったのか、それはかなり大きな音たてた。
「うわーーーーーん!!」
「大丈夫!?びっくりしたね!」母親はその子を抱き寄せて言った。
持ち主は慌ててそれを拾った。
「すみません!大丈夫ですか?」
「あ、はい少しびっくりしただけなので。」母親は笑顔を見せて言った。
今のって・・・僕・・・じゃないよね・・・
公平はアタッシュケースが突然方向を変えて落下したのを不思議に思っていた。
そして雪と公平は電車を降り、歩いて学校へ着いた。




