第五十八話 唐揚げ定食
「すみません!唐揚げ定食1つと、あと持ち帰りでカツカレーを一つ。」
「かしこまりました。」
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「お待たせいたしました。」
店員が、唐揚げ定食を持ってきた。
「うわ!!うまそ!!」公平は嬉しそうに唐揚げを覗き込んだ。
「先に食べていいわよ!」
雪はそう言って、定食のお盆を公平の方に少し寄せた。
「いただきまあす!」
公平はから揚げを箸で掴みそれを口に運んだ。
真野・・・本当に生霊だって言うの・・・?ここにいるあなたはいつものあなた・・・
雪は頬杖をつき、美味しそうに唐揚げを食べる公平を眺めていた。
「ん・・・1,2、3、4,5・・・」雪は皿の上の唐揚げの数を数えた。
「あれ・・・今一つ食べたわよね?」
「うん!美味しい!もう一つ食べてもいい?」公平は雪に聞いた。
「ええ、いいけど・・・」
公平は更にもう一つ口に運んだ。
「1、2、3、4、5・・・減ってない・・・」雪は驚いていた。
「え・・・?そっか・・・いくら食べても実際には無くならないんだね・・・」
公平は言った。
「そうよね・・・減ったらおかしいわよね・・・あなたは実際にはいないんだし・・・」
「いないって・・・」
「あ・・・ごめんなさい。」
「うん。あ、いいよ。そうだもんね!ごめんね先生!あ・・・だからコンビニで沢山
物を落としても・・・誰も僕に気づかなかったんだ。」
「そうなの?」
「うん。」
「ね・・・今どの唐揚げ食べた?」
「これとこれ。」
雪は公平が食べたというそれを食べてみた。
「え・・・何これ・・・まずっ!!」
「え・・・?美味しかったよ!」
「じゃあこっちは・・・?」今度は公平が食べなかった方の唐揚げを食べてみた。
「うまっ!!」雪は最初に食べた唐揚げとの味の違いに驚いた。
「でしょ!?」
「なるほどね・・・唐揚げのエキスを全部吸い取ったんだ・・・」雪は公平が食べた
二つ目の唐揚げを箸で掴みながら言った。
「みたいだね・・・」
雪は掴んでいた唐揚げを端へ置いた。が、少し考えた。
タバスコとかかけてみたら食べられるかも・・・
雪はその味のしない唐揚げにタバスコを大量にふって食べてみた。
「げ・・・!!辛っ!!!」雪は慌てて水を飲んだ。
「ぷっ、あ、あは、あはははは!」
公平は雪の行動を見て涙を流しながら笑っていた。
「げーーーかけすぎたっ!」
「あはは!そんなにかけて食べなくても・・・あはは」
「え・・・あはは・・・そうよね・・・でももったいないし。食べないとね!」
「うん。さすが先生!食べ物を大切にするんだね!」
「当たり前でしょ!」
「ねえ先生・・・」
「ん?何?」
「周り見てよ。」
雪は周りを見渡した。
食事をしていた他の客と店員が雪の方をじっと見ていた。
雪は急いで定食を食べた。
そしてレジへ行きファミレスを出ながら雪が後ろを振り返ると店員が何やら話を
している様子だった。
「もう!あなたのせいで私・・・変なひとじゃない!」
「そんな事言われても・・・」公平はしゅんとして言った。
雪はそんな公平を見て微笑んだ。




