第五話 サービス
ガラガラッ
公平は昨日と同じラーメン店の戸を昨日と同じ時間に開けた。
「お!兄ちゃん!今日は一人?」店の主人は言った。
「あ・・・はい」そして昨日と同じカウンター席に座った。
「ラーメン1つ。」
「はいよ」
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「はいおまち!サービスね!」昨日と同じラーメンだったが
昨日は1枚だったチャーシューが2枚のっていた。
「あ・・・すみません!」
公平は入口の戸がある方を見た。
そして出てきたラーメンを昨日よりもゆっくりとすすった。
「2日連チャンで来るわけないか・・・」
ラーメンを食べ終わり、お金を払って店を出た。
次の日も・・・その次の日も・・・
公平は通い詰めた。そのラーメン屋に。
6日間通い詰めたその日、公平は思った。
「僕って・・・これじゃあストーカーじゃん何やってんだろ?今日でやめよ。」
そして
ガラガラツ
「こんばんは!」
半ばやけ食いで出されたラーメンをズルズルとすすっていた公平は
その声を聞いてむせてしまった。
「ゴホッ・・ゴホッ・・」
水を飲みながら入口の方を見た。
「あれ?真野!」
「せんせーこんばんはっ!ゴホッ」
「何むせてんの?」
「いや・・先生来るって思ってなかったからびっくりして・・」
「・・・・・」雪は黙って公平を見ていた。
「おじさん!ごちそうさまでした!」雪はそう言って公平と一緒に店を出た。
ガラガラッ
雪は店の戸を閉めた。
二人は授業の話をしながら歩き始めていた。
その二人の後姿をじっと見ていたのは、小宮亜紀だった。